カーボンニュートラルへの"大切な順番"とは 自工会・豊田会長メッセージ
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温室効果ガス削減に向けた規制が発表されましたが、まずは日本の技術を生かした戦略を作る方が重要だと訴える、豊田章男さんのメッセージ。
「新車や内燃機関だけに軸足を置いた規制をつくり、出口を狭めるのではなく、カーボンニュートラルへのあらゆる道を広げていくことが必要」という発言に、強い意思を感じました。
ルールや周りの動き方に惑わされず、自分たちの強みを発揮できる闘い方を貫こうとする豊田さんの姿勢はかっこいいですね。【カーボンニュートラルは、「つくる」「運ぶ」「使う」「廃棄する」という、すべてのプロセスでのCO2 削減を実現しなければなりません。】
【ゴールは、カーボンニュートラル。決してEVの販売促進やガソリン車の禁止がゴールではない。】
上記2つのご発言が特に印象に残りました。
国によりそれぞれ条件が異なるのですから、ゴールに向かう手段は違って然るべき。
先例から学ぶことは重要ですが、全てを先例と同じく自国に当てはめることが正しいとは限らないですよね。
日本独自の様々なアプローチが生まれることを期待します。私も車をBEVにすることがカーボンニュートラルの近道だと早合点していましたが、豊田自工会会長の話で考えが変わりました。
自動車産業に関わる二酸化炭素の排出には、「使う」以外の部分で減らすことも必要で、さらにビジネスとして両立させるにはコスパの観点でどこに重点を置くべきかが決まります。
〉カーボンニュートラルは、「つくる」「運ぶ」「使う」「廃棄する」という、すべてのプロセスでのCO2 削減を実現しなければなりません
2018年度の日本の部門別の二酸化炭素排出量(間接排出量)を見ると、産業部門(工場)の35.8%と一番大きく、まず「つくる」段階での取り組みの優先度が高いことが推測できます。
https://www.jccca.org/download/13335
製造時の二酸化炭素を減らせば、ガソリン車、HV、EVを問わず減り、さらに国内で使われない輸出向けも減ります。
自動車産業が製造業の見本となって、金属や樹脂のリサイクル(廃棄時も減る)に、バイオプラスチックやセルロースナノファイバー等の植物由来の原料の利用、コーポレートPPAによる太陽光発電やCCS(二酸化炭素の回収)に取り組んで頂きたいです。
さらに運輸部門の二酸化炭素排出も自家用車の49.3%に対して、貨物は36.8%にあたり(2019年度)、「運ぶ」で減らすことも「使う」並に重要です。
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/environment/sosei_environment_tk_000007.html
DXによってトラックの積載率を高め、鉄道や船舶へのモーダルシフトを進めることの意義は大きく、ドライバー不足の問題を同時に解決することで、自動車メーカーも、荷主も、運送業者もwin-winで進められます。
もちろん「使う」を減らすことも重要で、電動化と燃費の向上を加速して頂きたいですが、電源構成で化石燃料が占める割合が多い現状ではEVに置き換えても効果は限定されるので、顧客ニーズを極端に無視しして業界を破壊する形にはしないでもらいたいところです。