米ファスト・カンパニー

電子値札によって、来週廃棄される果物は、もっと日持ちがする果物より安く表示される。その日に食べるのであれば、古い食料品を買うことで家計を節約できる。電子値札は食品ロス問題解決の切り札になるか?

独自アルゴリズムに従って価格を調整する電子値札のイメージ(写真/Shutterstock)
独自アルゴリズムに従って価格を調整する電子値札のイメージ(写真/Shutterstock)

 イタリアの商都ミラノにある食料品店では、棚に並んでいる時間が長くなるにつれ、生鮮食品が安くなっていく。電子値札が独自のアルゴリズムに従い、自動的に価格を調整するからだ。この店は、廃棄せざるを得なくなる前に食品を売ることで、スーパーマーケットから出る食品廃棄物の削減を目指すイスラエルのスタートアップ企業ウェイストレス(Wasteless)の技術をいち早く導入した店舗の1つだ。

値引きに付きまとう「汚点」の印象

 根底にある発想は、何ら新しいものではない。多くの店には、ディスカウントコーナーや、賞味期限が近い商品を売ろうとする棚がある。だが、店側としては商品の移動を管理するのが難しいため、そうした売り場には大抵、商品が数点しか置かれておらず、多くの買い物客は無視する。

 「ある商品が通常の売り場から取り除かれ、色の違う値札や値引きされたことを示すラベルが貼られた途端に、消費者の心の中で、その商品に即座に汚点が付く」。ウェイストレスの創業者兼CEO(最高経営責任者)のオデッド・オメール氏はこう話す。

 「確かに、値引きを喜び、積極的にディスカウントコーナーで買い物をする消費者はいる。だが、賞味期限については、大きなインパクトを与える新鮮さのオーラがある。値引きされたり、売り場が変えられたりした商品を買うより、賞味期限が長い新鮮な食品を探す方が、消費者の満足度がずっと高い」(オメール氏)

 「消費者による賞味期限探しは恐らく、小売業における食品ロス問題の最大の要因であり、そのため、これこそが我々が対処しなければならない問題だ。そして、これは消費者が悪いわけではない。同じお金を費やすなら、ずっと日持ちがする商品を買うのは、ただ単に賢明な買い物だ。反対のことをするのが賢明になるように仕組みを変える必要があり、それは、若干古いアイテムの購入を容易かつ魅力的にすることを意味する」(オメール氏)

賢明な買い物のあり方を変える

 ウェイストレスの新しいシステムでは、商品はずっと元の売り場に目立つよう置かれる。例えば、賞味期限が1週間後にくるヨーグルトが、2週間後にくるヨーグルトのすぐ隣に並んでいるかもしれない。賞味期限の違いを反映し、電子値札が自動的に値段を調整して表示するからだ(店側には、値段を棚に表示する代わりにアプリで表示する仕組みにする選択肢もある)。

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