【新】知の巨人が暴く「イノベーションのウソ」
コメント
注目のコメント
話が大局的だからか、言葉の定義の問題なのか企業レベルを見ている側からするとちょっとピンとこないところがありました。例えばプロセス・イノベーションが漸進的であるという点。これは大企業内であればそうかもしれませんが、新しいビジネスモデルをスタートアップが取り入れ、できない大企業は淘汰されていくという意味では結構短期間で進行する、気が付いたときにはあっという間に逆転ということはままあると思います(Netflixとブロックバスターとか)。規制に関してもホンダのCVCCはマスキー法があったから生まれたようなことも考えたほうがいいのではとか。
素晴らしい、大事な視点が盛り沢山です。
1)イノベーションは爆発的ではなく徐々に(=小さな積み重ね)生まれる
2)テクノロジーはなにか違うもので成果が生まれることがある
3)テクノロジーはイノベーションの必要十分条件ではない(それ以外の変化が重要)
4)抑圧/抑制からイノベーションは生まれない
最後の抑制はイノベーションを阻害する要因というのは同意ではありますが、制約条件があったからこそ生まれるイノベーションもあります。重量の制約、スペースの制約など、技術革新の原動力として多くの事例が挙げられます。むしろ工学技術は制約条件から生まれている部分が大きい(※ここでは抑圧型の規制が問題だといっているので趣旨から少しずれているかもしれませんが)
暗闇で見えないから、可視光に頼らないセンシング技術が発達したり、画像情報が使えないから他のセンシング情報からAIで推定し制御したり、スペースや電力が足りないから他の原動力を発明したりなど。
iPhoneだって、物理ボタンと画面が別々だと画面が小さくなるので、タッチパネルというインターフェースでイノベーションが生まれた。ただ、タッチパネル自体の技術はここで言われるように少しずつの技術の積み重ねで生まれたイノベーション。
基礎技術に注目するのか、それを組み合わせた新しいコンセプトやプロダクトに注目するのかで、イノベーションの見え方や制約条件の寄与の仕方は変わってくる側面もあると思います。
いずれにせよ、イノベーションをいかにして生み出していくか、それを社会にどのように活用していくのか、というプロセス自体が今まさに科学しようとされています。個人的にも大変注目している領域です。マット・リドレー×山形浩生さんの対談をお届けします。リドレーは名著『繁栄』で知られ(ちなみに編集担当はぼくでした)、ゲイツやザッカーバーグを愛読者に抱えるイギリス屈指の科学経済啓蒙家。イギリス貴族院議員でもあり、先日のフィリップ殿下の逝去に際しては議会で弔辞を読む姿が報じられました。
新刊『人類とイノベーション』(https://www.amazon.co.jp/dp/4910063153/)は日本でもベストセラーになりつつあります。
今回のzoom対談、予定の1時間をオーバーした、非常に白熱したものになりました。「人類のイノベーションは生物進化とパラレルである」と説くリドレーの真意に迫ります。