英国、温室効果ガス排出削減目標を引き上げ-1990年比で約8割削減へ
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2年前まで英国の削減目標は2050年までに90年比80%減でした。ここから15年近く前倒ししたことになります。
パリ協定の1.5度目標が標準化したことなど外的要因は大きいですが、野心引き上げレースで英国が独走する背景はEU離脱と無関係ではありません。
外交的地位の低下が危ぶまれる英国は気候問題を最重要課題の一つと位置づけ、この分野で「世界のリーダー」を自負するEUに先んじることに必死に見えます。
2050年カーボンニュートラル目標を最初に法制化し、2030年目標は68%減に大幅引き上げ、内燃機関車の新車販売禁止時期の前倒し(2030年)など世界が驚く政策を次々と発表してきました。
世論の気候変動への関心も高く、これらの政策が人気取りになっている側面もあります。(日本では気候問題は「票にならない」と言われてきました)
英国は今年COP26とG7の議長国として、海外の石炭火力事業への公的資金禁止の国際合意につなげようと意欲を燃やしています。ターゲットは中国(と日韓)。年内はこの議論にも注目です。COP26が開かれますから、それもあって高めの目標を設定しています。米バイデン政権へのラブコールでもありますし、有権者へのアピールでもあります。
ただし、実態が伴うかは全く違う話です。今年に入ってから急激に舵が切られています。11月のグラスゴーのCOPまで各国は自国のCO2排出量の削減計画(NDC)を調整するなど色々な動きが出てくるでしょう。また2030年のターゲットなどの議論も加速するでしょう。スタートラインや気象条件が異なるので難しい議論が続きます。