私の会社では国際空港向けにチャットボットを導入しているので、仕事がら国内外の空港経営者とお話しすることが多いのですが、日本 vs 海外で比較すると圧倒的にメンタリティが違うことに驚きます。 国内ではお客様へのサービス向上というのが1番よく上がる一方、海外ではエアー以外の収入アップまたはコスト削減の2つがメインです。海外空港の場合、Googleなどから優秀なIT人材を採用できていることも多く、デジタル技術を活用しながら売上を上げていく姿勢が印象的です。例えばフロリダのタンパ空港では、空港内のフードデリバリーサービスが開始されており、そちらはただのコロナ対応かと思いきや、心配性でゲートから離れたくない乗客(gate hugger)にもお買い物に参加してもらい売上を上げるとりくみだったり。
これらの産業・事業は、民間で行われることもあれば、国や地方自治体が行うことも少なくない。それは、インフラが整うことで、国・都市の魅力・競争力があがることにつながるから。だから「インフラ投資」。
そこには自助努力もあれば、外的要因もある。だからこそ、経営などの評価では、同じような条件にあるところとの比較が重要。人口や周辺に大規模都市があったり、そことの競争があるのか、施策によってどういう変化が起こったのか。
一方で、経営や事業経済性について「単独で捉えなくても良い」というのを印籠に、経営として体をなさず、また地元利権・政治に利用されることも少なくないのが過去の現実。それは路線の維持とかもそう。だからこそ、比較条件をできるかぎり適切に選択して、また変化がどっちに向いているのか、そういう議論や透明性が重要だと思う。
個人的には佐賀空港の成功事例は,地方のコンテナ港湾の運営でも見習える考え方だよな,というのを強く感じました.
もっと視野を広げれば、結局は交通インフラのデザインをどう描くかというところに帰着するので、いわゆる政治家が国家100年の計、として設計するべきものとなります。現実には技術革新や最近は二酸化炭素に代表される環境問題もあり、100年先を見通して最適解を得ることは難しいのですが、10〜20年ならなんとか方向性だけでも読むことはできますから、適宜軌道修正をしながらデザインしていくしかありません。
日本に限ってしまえば、今後20年程度は都市部への人口集中はますます進みますし、トータルでの人口減も進みます。リニアが開通して東京ー大阪間の定期路線は無くなるかもしれません。そうなると羽田の発着枠はその分空きが出ることになります。また僻地の空港では医療に必要とはいえジェット旅客機が就航できるような規模を維持できなくなる可能性もあります。一方で、ドローンによるモノやヒトの輸送についてはジェット旅客機よりは安価なので、これを使うことはできるかもしれません。ジェット旅客機が就航する空港はダメでも、ドローンをはじめとする小さな機体の離着陸場としての整備には未来があるかもしれません。コロナは結果的に人類の進化を加速させたと思っていますが、航空会社や空港においてもこうしたことを考えていく必要があると言えるでしょう。
航空系事業の収入は、航空会社から得る着陸料/給油施設利用料、利用者から得る空港施設利用料(徴収していない空港もある)などが主だが、これらの利用料で施設整備に係る投資を賄えていない状況が窺える。利用料の単価は制度上一律設定ではなく、個々の空港ごとに値上げ可能なものだが、減便や利用者数減につながることを懸念し上げにくいという事情がある。
空港は公共インフラである。赤字だから駄目だ / 撤退だという性急な議論ではなく、周辺地域が空港があることによって享受しているメリットを勘案し、慎重な議論が求められる。
■参考資料
・国土交通省_空港別収支の試算結果について(2018年度)
https://www.mlit.go.jp/common/001321310.pdf
・国土交通省_空港別収支の試算結果について(2019年度)→コロナ禍で一層状況は悪化している
https://www.mlit.go.jp/common/001385888.pdf
記事にあるように空港のビジネスモデルは、航空系収入と非航空系収入です。航空系収入は乗客数や就航便に応じて、航空会社から支払われます。非航空系収入は空港を利用する方々が飲食店や免税店などを利用して売上があがります。どちらも乗降客数に左右されますが、昨今、乗降客数が多い空港では、非航空系収入が伸びていました。
なぜならインバウンドが劇的に伸びていたからです。
日本人の乗降客数は、空港立地に左右されます。日本国内の人口分布は急には変わりませんから、都市部に近い、成田や羽田、関空が圧倒的に有利です。
ですが、インバウンドにとっては、居住地からの立地は関係ありません。
海外から飛んでくれば、羽田空港に降りるのも、仙台空港に降りるのも、時間的差異はほとんどありません。そこで万年赤字だった地方空港にも注目が集まるようになりました。さらに日本人の空港利用者は空港でたくさん買い物はしませんが、インバウンド旅行者は空港で買い物します。みなさんも、海外旅行先の空港で、免税品やらお土産をたくさん買わないでしょうか?
そこで、インバウンド増加を商機とみて、民営化に手を挙げる大手民間も増えてきた。国も、商売は絶対、民間のほうが得意なはずだから、民間に運営を任せて、赤字補填の財政出動を減らしたい、と考えるため、民営化が進みました。
足元はコロナ禍で空港売上は悲惨な状態にあるわけですが、記事にもある通り、空港経営は長期視点です。民営化にあたっても、民間との委託期間は50年スパンなど非常に長く設定されています。
国内ではお客様へのサービス向上というのが1番よく上がる一方、海外ではエアー以外の収入アップまたはコスト削減の2つがメインです。海外空港の場合、Googleなどから優秀なIT人材を採用できていることも多く、デジタル技術を活用しながら売上を上げていく姿勢が印象的です。例えばフロリダのタンパ空港では、空港内のフードデリバリーサービスが開始されており、そちらはただのコロナ対応かと思いきや、心配性でゲートから離れたくない乗客(gate hugger)にもお買い物に参加してもらい売上を上げるとりくみだったり。