「給与の電子マネー払いはどうせ普及しない」金融のプロがそう考える3つの理由
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注目のコメント
拙稿にも拘わらずコメントが遅れて失礼しました。
かなりデジタル給与払いの話題が盛り上がっているので、アメリカで定着しているペイロールカード等を含めデジタル給与払いについて、考え方を纏めさせて頂きました。
給与口座は銀行が血眼になって獲得するようなリテール戦略上の重要な取引です。それがデジタル払いに移行すれば「銀行飛ばし」は進むでしょう。
ただ、冷静に考えれば、わざわざデジタル払いに変更・選択する人は当面増えるとは思えません。
しかし、スマホ完結型の金融取引(資産運用、消費決済等)が消費者の行動の中心となれば、目の前の風景は激変する潜在性はあると思います。PayPayのようなプリペイド型の電子マネーは死屍累々の欧州ですが、日本のようには流行らない要因の一つに銀行のデビットカードの使用比率が高いことがあります。
カード+PINコードはもちろん、タッチ払いやApple Pay等でのスマホ決済も含めていわゆるキャッシュレス決済の需要にはデビットカードが十分に答えていて手間暇かけて電子マネーにチャージする意味が無いのです。
銀行口座を持てない層についてもチャレンジャーバンクが対応していますが、それも結局IBAN(銀行口座番号)にVISAやMasterのカードといった銀行同様の送受金・決済の機能を提供するものです。
そう考えると、日本の地銀の最大の防御は国際カードブランドのデビットカードの普及と利用促進ではないでしょうか。ATMで年金を銀行のカードで引き出して使っている層が同じカードでタッチするだけで買い物の支払いも出来ることに気が付けば手間暇かけてスマホで電子マネーを使う意味もかなり薄いと思います。通貨とは国家が徴税する手段として便利な様に流通させているものなので、給与の支払いを法定通貨以外で行おうとすれば、いつかは国家権力にやられるか、権力闘争になる。
せいぜい、中央銀行発行の電子マネー(CBDC)になるのがオチ。