米KKRも東芝買収検討=2兆円超の争奪戦に―英紙報道
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本命が来ましたね。創業者のヘンリー・クラビスがまだ健在のプライベートエクイティ界の本丸は長年日本を見てきました。日立をどう買収するか真剣に考えていたKKR。政治的な要素も含めていくらでもハードルはあるものの、これが実現したら日本は変わるチャンスかもしれない。
モノづくりに邁進してきた伝統的日本企業はコングロマリット化し、近年では部門や子会社をファンドに売却すること自体随分抵抗が薄れたかのように思う。価値創造がその後実現され、再上場ケースなども出ているので、業界に対するビジネス界の信用力は多少は上がった。シャープの件もあるので、事業会社という路線も残るだろう。
どちらにせよ誰かの手に渡るのであれば、本当の意味で再建出来る経営者が参画せざるおえないので、筋肉質な企業へと変貌を遂げる大事なモデルケースとなるだろう。KKRは日本では2010年の旧インテリジェンスのバイアウトから始まって、パナソニックヘルスケア、カルソニックカンセイ、日立国際電気へのTOB、直近では西友などへの出資をしています。
他のファンドも参戦するのか、今後の展開が気になります。政治的な背景や社長の辞任に象徴されるコーポレートガバナンスの議論は各種報道のトーンで印象操作可能なので、コメントをすることは憚られますが、
東芝という巨大戦艦をPEファンドの買収を検討してる背景についてコメントすると、1つ言えるのはコングロマリットディスカウントが挙げられます。
大手通信会社や大手化学メーカーや東芝と同業の大手電機機器メーカーすべてに当てはまりますが、
企業グループを構成する個社の時価総額の合計額が連結企業グループ全体の時価総額を上回ってしまう現象です。
10+10+10=20になっちゃうような現象で、経営学では伝統的な論点で手垢まみれの議論ですが、まだまだ多くの大企業が過去の様々なしがらみに起因して抜本的に斧を振り下ろせていない問題です。
その意味において、斧を振り下ろすことに躊躇のないPEファンドが、合理的に最適解に向けて粛々と外科治療をするだけで株式価値は間違いなく上がるので、資本主義のロジックに照らせば、買収に応じない理由はないと思うのですが、「会社は人」というだけあり情理というか怨念に近いドロドロした感情でできているので、勿論事は簡単に進まないのでしょうか。
まぁ、CVCにせよ、KKRにせよ東芝という巨大戦艦をバラバラに解体して、それぞれのパーツでIPOを目指すか、MAで誰かに売却するか、大筋やることは変わらないので、どちらでも大した違いはないのでしょう。
本件はおそらく先が長く色んな報道があることないこと出てくると思いますが、一つ思考の補助線を引くとすると、
東芝を解体されることを望んでいない人と東芝を解体したい人との綱引きの構図だと思っていて、どちら側のどういう思惑が背景にあるのかがこの切り口で見えやすくなるのではないかと思います。