アフガン駐留米軍、9月までに完全撤退へ 同時多発攻撃から20年
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昨年2月のトランプ政権時代にアメリカはタリバンとの和平協定に調印し、14ヶ月以内の撤兵に同意していました。
しかしその後カブールでタリバンによるテロが起こると、反撤兵派が巻き返し交渉は中断、更にアメリカでも政権交代があり、先行きが注目されていました。
結局バイデン政権も撤兵の道を選びましたが、これは妥当な判断だろうと思います。
20年間で死者2300人以上、負傷者2万人以上の損害を出し間接的なものも含め総戦費は100兆円にも上るとされるアフガン戦争は、アメリカ史上最長の戦争となりました。
しかも2015年以降戦局は悪化し、全土の70%を抑えていた政府軍の支配領域は、この4年余りのタリバンの攻勢で50%余に減少。
34州のうち6州はすでにタリバンの手にあります。
恐らくアメリカに見捨てられた形になるアフガニスタンのガニー政権は、そう長くは持たないとは思いますが、例えそうなっても予期された出来事であり、国際政治の大きな流れば変わることはないでしょう。米軍は、撤退するだけなら簡単です。問題は、その後をどうするか、です。あとは野となれ山となれ、でいいなら簡単です。米軍がいなくなれば、今でさえ優勢なターリバーンがアフガニスタン全土をまたたく間に制圧するでしょう。米軍が撤退した後の南ベトナムと同じことになります。
トランプ政権は、別にそれでもかまわない、ということもあり、2021年5月の撤退を約束していました。ターリバーンにすれば、米国との約束です。バイデン政権が、やっぱり取り消してくれといっても、ただでのめる話ではありません。
バイデン政権が取りうる選択肢は多くはありません。米軍が現地に残り続けたところで、米軍が後ろ盾になっている現地政権に勝ち目はありません。撤退を5月から9月に変えたところで同じです。撤退するにしても面目を保ちたい、というのが、バイデン政権が模索していることです。
そもそもこの戦争は、2001年9月11日の後、主犯のアル=カーイダがアフガニスタンにいるので討伐する、という名分で始められました。実際には、ターリバーンとの戦争になり、米国はアフガニスタンに「民主的な」政府をつくるとして20年間駐留し、莫大な額を支出しました。しかし、傀儡政府は腐敗の極みにあり、選挙は機能せず、首都に閉じこもってターリバーンに取り囲まれています。10万人以上の死者を出しましたが、大部分はアル=カーイダとは何の関係もない人々です。
バイデン政権にできるのは、2021年9月11日に華々しいイベントを開催して、駐留20年の成果を誇ることくらいでしょう。結局、米国は20年かけてアフガン情勢を安定させることはできなかった。かつての英露のように武力でこの地域を安定させようとしてもそれは上手く機能しないという証左だろう。ただ日本はこの地域で医師の中村哲氏や緒方貞子氏の尽力により、尊敬を勝ち得ている。日本外交はここで独自の貢献を世界に見せる時かもしれない。