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また、コンビニはこれまで定価販売で事業を拡大してきたことから値引きに消極的な傾向があり、本部の意向に沿わないと契約更新がされないなどのプレッシャーも、改革を留めていた一因とされています。
経済産業省「新たなコンビニのあり方検討会」の影響もあり、廃棄ロスの一部(15%等)を本部が負担している事業者、期間限定で廃棄費用を上限ありで本部が負担する事業者、値引きを建前上推奨するが加盟店の負担とする事業者等、コンビニ大手から色々と取組は出てきています。今回の「値引きで減少する売り上げの一部を本部が補填」も、工夫の一つでしょう。しかし、会計制度改革やマインドセットがなされないと、抜本的な改善は難しいでしょう。
一方で、値引きの手続き簡略化には、少し期待をしています。これまでコンビニの本部が値引き販売を公的に推奨するとなっても、値引き率が5%などあまりインセンティブに繋がらないものであったり、指定のポイント制度でしか還元できなかったり、スマホアプリがなければ恩恵を受けれなかったりと気軽に誰でも値引きを受けるという概念からは外れるものが多かったため、今回のファミリーマートの新制度がこういった弱点を補うことができるのであれば、業界に一石を投じる形となるかもしれません。
出典 https://news.yahoo.co.jp/byline/iderumi/20200514-00177430/
これまで、コンビニ各社がロスの問題に真剣に取り組んできたとは見えません。たとえば今回記事になってるファミマですが、2016年に開始したフランチャイズ契約パッケージの中に、廃棄ロスに対する助成金が組み込まれていたらしいです。これは、
廃棄ロスの大半は本部ではなく加盟店が費用負担
→ロスを恐れる加盟店は発注と在庫を減らそうとする
→機会ロス(売れるはずだったものまで売れなくなる)が発生
→本部の利益まで下がる
となるのを防ぐため、本部が廃棄ロスのコストに対し助成するというもので、加盟店が廃棄ロスを出すインセンティブを与えるようなものです(今も続いてるのかは知りません)
出典
https://aichiu.repo.nii.ac.jp/index.php?action=repository_action_common_download&item_id=9541&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1&page_id=13&block_id=17
今回は見切り販売を簡略化&本部負担を増やすということで、逆のインセンティブを設けたようですね。
「お客様にいつでも新鮮で良い品物を!」という姿勢は素晴らしいですが、それが売れ残りと廃棄を前提にしているようでは時代遅れ。
日本の食品ロスの数%はコンビニから出ていることからも、加盟店が競ってロス削減に取り組めるよう工夫して欲しいです。
フードロス3割減のインパクトたしかに、現在の経済価値で換算したら、あまり大きくないのかもしれません。
”国民一人当たりのフードロス量=お茶碗1杯分/日”と推計されてますが、「フードロス、そんなものですか・・・」と多々言われます。
確かに、現在の経済価値で換算したら、金額は大きくないかもしれません。
しかし、食料安定供給が問題になってきそうな昨今、食料自給率の引く日本は、現在の価値ではなく、今後の価値・食料安全保障の面からフードロスに真剣に取り組むべきだと思います。
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/161227_4.html#1
政府もこの取り組みには、値引きを補填するくらいの優遇をしても良いかもしれない。
その際にとにかく大切なのは、廃棄予定食品をいつ、いくらに値引きしたのかの精緻なデータです。隠さずオープンにしていくことが必要だと思います。
ロスの問題はもちろんだが、
仕組みを構築することで店主の判断が柔軟になり、経営感覚も磨かれるのだと思う。
顧客の動向、当日のロスの可能性を最も知るのが店主。
連携をとってロスを防ぎ顧客満足も引き出したい。
これまでどれほど煩雑だったのか、それがどれほど簡素化されたのかが気になるところ。他のコンビニも追随する動きになるのだろうから、興味深い。
定価販売をしないと商品を卸さないというのは、明らかに「優越的地位の濫用」に当たるからです。
このように考えると、ファミマの取り組みは何ら斬新なものではありません。
あくまで個人的な肌感覚ですが、コンビニ3社の中ではセブンが飛び抜けていて、ファミマは最下位独走という気がします。
何かと話題を提供するファミマですが、大切なことは商品の質を高めることだということを忘れないでくださいね。
個人的な意見ですが、コンビニ会計があるから廃棄商品が減らないと言うと、多分答えはNOです。事実として、コンビニ会計を適用しても、発注精度改善や値引き活用をする事で、廃棄を最小限にしている店舗はあります。値付けの決定権は、加盟店にあり、本部には無いと言うのが、本部の公式見解です。既存の枠組みでも、値下げ自体は可能です。
しかし、コンビニで値引きが最大限活用出来る環境が揃っているかと言うと、これもNO。値引きの手続きが繁雑であれば、人不足の中、値引きにさける時間がない場合もあります。また、契約更新や複数店契約時の確認事項に「適切な値付けを行い、粗利の最大化に努めている」とか書かれてたら、(知らないですよ、そんな項目があるかなんて) 値引きを躊躇しますよね?認められている事をやりやすくするシステム開発、認めらている行為によって不利にならない事を保証することが、本部の役割であり、コンプライアンスでもあるとは思います。
つまり、廃棄削減や値下げを進めたいなら、消極的な値下げ行為の承認ではなく、値下げ行為の積極的な推奨が必要なわけです。そういう意味で、「コンビニ会計の変更をどうするのか?」「廃棄に対する本部のコミットメントはなんなのか?」って言う議論だとは思います。
こういった廃棄ロスへの取組みや昨年の公取から出た独占禁止法違反の見解への対応などへの温度感の差に直営店比率が関連しているのかと足元の数字を計算してみましたが、各社2%程度と差はないようです。むしろこの数字からいえるのは、ほぼフランチャイズ経営の体制であるために契約条項の変更の影響がとても大きく、なかなか動かしがたいであろうということでしょうか。
■直営店比率
・セブンイレブン(2019年度末):加盟店20,584店+直営店371店=合計20,955店(直営店比率1.8%)
・ローソン(2019年度末):加盟店14,141店+直営店303店=合計14,444店(直営店比率2.0%)
・ファミリーマート(2020年2月末):加盟店16,305店+直営店306店=合計16,611店(直営店比率1.8%)
■参考資料
>ロイヤリティの仕組み(セブンイレブンのケース、p.41)
https://www.sej.co.jp/library/common/pdf/yokogao2020-21_all.pdf
>直営店比率の出所
・セブンイレブン(p.17)
http://fc-g.jfa-fc.or.jp/misc/pdf/71-2.pdf
・ローソン(p.5)https://www.lawson.co.jp/company/ir/library/annual_report/2020/pdf/ar2020_all.pdf
・ファミリーマート(p.9)https://www.family.co.jp/content/dam/family/ir/library/references/fact_2002_wq0.pdf
エコシステムのサイクルとして堆肥化させたり、食育の一環として子供たちへ提供したり、出来ることはまだまだありそうです。
建前としては、フードロスやオーナーの経営問題を放置できないので、値引き販売を容認していた。しかし、値引き販売するには、意図的に手間がかかるようにしていた。
FC本部のアコギな戦略が露呈したので、値引き販売の簡略化に着手 ← いまここ