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「補助診断」という位置づけとはいえ、検査結果が人の行動を左右する可能性があります。検査が陰性であれば濃厚接触者でも飲みに出歩いたりする人もいるでしょうし、陽性であればパニックになると思います。特に未承認の検査キットの使用は控えた方が良いでしょう。
1 性能が確認できない
「抗原があるのに抗原がないと判定される誤差、抗原がないのに抗原があると判定される誤差」はどの検査キットにも必ずあります。程度の問題ではあるのですが、承認を受けていないケースでは信頼できる確認方法がとられていません。何回か性能テストをしてよいものを使うなどの操作があってもわかりません。
2 誤用や誤った考え方で被害が広がる
「医学・薬学・公衆衛生学の理論に基づく知識」と「正しい取り扱い(検査)方法」の両方を兼ね備えていない場合、「大丈夫」と本人が思っていても大丈夫ではなかったり、特に感染症の場合、不用意な行動で、感染拡大させる恐れがあります。
このあたりのことを、政府は嫌っています。国が承認したものでも、一般用医薬品(薬局で売れるもの)としての承認であれば市販されますが、一般用医薬品への適応は、一般の方でも操作に誤りが少なく、非侵襲的(体を傷つけず)で、判断の齟齬が生じ難く、すでに医療用(病院でしか使えない)として長期に実績のあるものに限られており、日本では、尿糖・尿蛋白検査薬(平成2年~)、妊娠検査薬(平成3年~)しか認められていません。これにコロナウイルス抗原検査は該当していません。
このルールにより、医療用で使える基準を満たすことの審査を受けて、体外診断用医薬品として認可された抗原検査キットは、現時点では病院(医療用)でしか使うことができません。ネットや小売店に出回る「抗原検査キット」に、もし「医薬品」、「厚生労働省認可」、「医療診断に用いる」などの、認可された医薬品にしか書けない文言があれば、「薬機法」に違反します。
従って、一般に市販されている「キット」は、単なる「研究用素材」であり、問題が起こった場合でも、販売者の責任は問えません。また、これを使用して受けるいかなる不利益も販売元は保証しません。政府は、「研究行為」は禁止できないという状況です。
感染症の場合、誤った使用により生じる問題は、本人の健康被害にとどまりませんので、政府としては法律・法規に基づいて「強い警告」を出しています。
国の承認を得られているものが市販されていることはないとのこと。