IMF警告、米国が予想外の引き締めに動けば新興国市場から資金流出
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歴史的見るとドル金利の上昇がトリガーとなり94年以降メキシコやアジア新興国で通貨危機が発生しました。現在の外貨準備の水準は当時と異なりますが新興国への影響は注視する必要があると思います。
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米国の金利上昇による新興国・途上国からの資金流出を懸念する、というのはIMFの伝統的な心配事で、それ自体は特に珍しい事ではありません。ただ、これを防ぐ特効薬はありませんし、それはこれまでの経験も示しています。
消去法的に提言されるのは、「政策のサプライズを減らせ」ですが、一方で、金融政策はその時々の情勢を踏まえ、複数の政策委員の合議によって決めるというのがグローバルスタンダードになっています。したがって、会議の前に先行きの金融政策をどうこうすると言うことは、合議体の考え方とは抵触し、むしろ「情報リーク」と言われかねない訳です。
仕方なく提言されるのが「条件付きの政策反応関数を示せ」、すなわち、「経済がこうなったらこうします」と説明せよ、ということなのですが、現実の経済も政策波及経路も非常に不確実性の高い中、これらを予め説明しても、その通りには物事が進まないリスクがきわめて高いです。
このように考えると、結局重要なことは、中央銀行の経済見通しが市場の信認を得られるか(今回の事例で言えば、「インフレ圧力は一時的」という米国当局の説明が説得的であり続けられるか)という点になります。(だからこそ、サマーズやブランシャールもこの点を取り上げているのだと思います。)今回はワクチン普及の差により、新興国経済が回復して資本を集める前に米国経済が回復してしまいますから、これまでの米金融政策出口の局面以上に新興国の通貨危機リスクが高いと思います。