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米国の金利上昇による新興国・途上国からの資金流出を懸念する、というのはIMFの伝統的な心配事で、それ自体は特に珍しい事ではありません。ただ、これを防ぐ特効薬はありませんし、それはこれまでの経験も示しています。

消去法的に提言されるのは、「政策のサプライズを減らせ」ですが、一方で、金融政策はその時々の情勢を踏まえ、複数の政策委員の合議によって決めるというのがグローバルスタンダードになっています。したがって、会議の前に先行きの金融政策をどうこうすると言うことは、合議体の考え方とは抵触し、むしろ「情報リーク」と言われかねない訳です。

仕方なく提言されるのが「条件付きの政策反応関数を示せ」、すなわち、「経済がこうなったらこうします」と説明せよ、ということなのですが、現実の経済も政策波及経路も非常に不確実性の高い中、これらを予め説明しても、その通りには物事が進まないリスクがきわめて高いです。

このように考えると、結局重要なことは、中央銀行の経済見通しが市場の信認を得られるか(今回の事例で言えば、「インフレ圧力は一時的」という米国当局の説明が説得的であり続けられるか)という点になります。(だからこそ、サマーズやブランシャールもこの点を取り上げているのだと思います。)
歴史的見るとドル金利の上昇がトリガーとなり94年以降メキシコやアジア新興国で通貨危機が発生しました。現在の外貨準備の水準は当時と異なりますが新興国への影響は注視する必要があると思います。
今回はワクチン普及の差により、新興国経済が回復して資本を集める前に米国経済が回復してしまいますから、これまでの米金融政策出口の局面以上に新興国の通貨危機リスクが高いと思います。
銀行の国際部門で遭遇した1982年勃発の中南米の累積債務危機が、私の人生最初の世界的な金融の混乱でした。1970年代の中南米の積極的な国内開発と成長を背景に米国の民間銀行を介して世界から多額のドル資金が中南米に流入しましたが、その後に起きたのが米国の激しいインフレで、これを抑制するため故ボルカーFRB議長が厳しい金融引き締め策を取ったのです。その結果、米国の政策金利(FF金利)は一気に19%まで跳ね上がり、ドル債務の利払いと償還に耐えられなくなった諸国が次々と破綻して行ったのです。これを嚆矢に幾度かの債務危機を経験する状態に至る前、今では信じられないかもしれませんが、中南米の国々は豊富な資源に恵まれ将来の繁栄を期待された豊かな新興国だったのです。
2008年のリーマンショックをきっかけに始まった米国を始めとする先進国の量的緩和で溢れた資金が成長力のある新興国等に流れ込み、世界のドル建て債務は過去10年で2倍に膨らみました。そうした資金を使って成長したアジアを始めとする国々が、米国の急な金融引き締めでドル金利が上昇して借り換えが難しくなって破綻して世界の金融が混乱したら大変なことになるのは過去の経験が語っています。しかも、資金を供給する側の先進国に、かつてほど大胆な債権放棄の余力はありません。
コロナ禍に対応して行われた極端な財政支出が原因で万が一にもサマーズ元財務長官が心配するようなインフレが起きてFRBを始めとする先進国の中央銀行が予想外の金融引き締めで対応せざるを得なくなったら大変です。IMFが警戒感を示すのは当然で、歴史が繰り返さぬよう念じるしかないですね・・・ (・・;
コロナワクチンと治療薬をいかにグローバルに広めるのかが結局の最善策。
総じて健全な新興国でも資金逃避が起きていて、金利は上がり株価も下げています。システミックな危機に発展する条件は整いつつあります。米国金利については識者の皆様が的確なコメントをされています。他には、米中対立をきっかけに中国サイドに付く新興国の格下げもありうると思います。