ミャンマーの紙幣発行が困難に ドイツ企業が技術供与停止
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現在の技術進歩の下で、十分な偽造・変造対策を備える紙幣を製造するには大変なコストがかかります。このため、世界的にみれば、紙幣を自国で製造せず、民間企業に委託している国々の方が、数としては多くなっています。
この中で、紙幣の製造を請け負う企業は、世界的には数社に集約されています。この中で2019年には、ベネズエラの放漫財政を受けた大インフレにより、同国の紙幣製造を請け負っていたDe La Rue社が代金を回収できなくなるという、有名な事件が起こっています。
https://www.ft.com/content/4aa4df10-82a4-11e9-b592-5fe435b57a3b
したがって、G+D社の判断は、ビジネス判断としても当然だろうと思います。
私もIMF勤務時から、政策規律を失った国々でどういうことが起こるのか、いろいろなパターンを見てきましたが(インフレ、資本流出、インフラの維持困難化)、紙幣流通という基幹インフラを維持できなくなる、というのもその典型事例の一つですね。
注目のコメント
ミャンマーでは、まだまだ現金主義で、銀行が信頼されていないので、タンス貯金がかなり多いと散々聞いています。
ですから、紙幣製造が出来なくなると、銀行の存在感が益々低下しますし、政府の権威も低下するでしょう。
ミャンマー通貨は、タイで法定通貨よりかなり割の悪い為替レートで両替が一部で出来ますが、国際流通はほぼしていない通貨です。
こうなると、ドルが事実上の通貨になるのでしょうか?
アフリカ諸国のような状況になりますね。実は「紙幣」そのものの発行が困難になっても、それ程には困らないだろう。
例えば日本で流通する紙幣は、全貨幣の2割程度に過ぎず、殆どは電子取引されている(だから日本の通貨の殆どはずっと前から既にデジタル化されている)。
従って紙幣そのものが無くてもそれ程困らない。
もっと言えば、1970年代のアイルランドの銀行封鎖事件は参考になるだろう。
これにより、現金引き出しや小切手の換金ができなくなってしまったが、それ程混乱は生じなかった。
人々は「誰々さんに、いくら支払いました」と言う証書を各々に作成し、その証書が【通貨】として流通していったためだ。
どうにも我々は【紙幣こそがカネである】と勘違いしがちなのだけれども、そうではない。
カネつまり通貨とは、「取引の記録そのもの」に過ぎず、あの紙切れそのものに価値があるわけではない。
この事例は、
「あの紙切れが貴金属と交換可能なのだから価値があると思い込んで、今はその惰性によってカネに価値があると皆が思い込んでいるだけなのだ」
・・と言う多くの人が信じている仮説を、明確に否定するものだ。