この連載について
EC化がなかなか進まない「ネットスーパー」は、アマゾンも苦戦する小売最後のブルーオーシャンと言われてきた。その勝ち筋はどこにあるのか。大企業の黒子としてDXを進めるベンチャー企業と世界の小売の王者ウォルマートの動向をレポートする。
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Walmart serves as the preeminent retailer in the United States, with its strategy predicated on superior operating efficiency and offering the lowest priced goods to consumers to drive robust store traffic and product turnover.
業種
GMS
時価総額
72.2 兆円
業績
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Amazon is a leading online retailer and one of the highest-grossing e-commerce aggregators, with $386 billion in net sales and approximately $578 billion in estimated physical/digital online gross merchandise volume in 2021.
時価総額
265 兆円
業績
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「D2Cブランドの買収の狙いも一つは、若者へのアプローチという側面があると思います」もその通りと思います。ただ、「ウォルマートは若い人にはあまり使われていません」「古き良きオールドアメリカ」というのは誤解と思います。NYのマンハッタンならともかく、私が10年住んでいたテキサス、サンアントニオ(今、ゴルフのバレロオープンもやっています)は全米で7位の大都市ですが、20店舗くらい(今はもっと増えている?)はあり、年齢や年収にかかわらず多くの人が使っていました。衣料品のプライベートブランドが今一つというのはその通りで、同じくECを伸ばしているターゲットのほうが格段上でした。D2Cもまた試行錯誤の1つではないでしょうか。
チェーン小売のデジタル化のHowについては、ローカル性の強い小売にとってアメリカの事例が日本でそのまま適用できる、などとは思っていませんが、より抽象化したレイヤーやデジタル化の進め方そのものは参考になるところもあると思います。特にWalmartのトライ&エラーのスピードの速さや実験思考の部分は、どちらかというと前例を探す傾向の強い日本の老舗企業と比較して、参考になるところかと思います。
ちなみに米国はWalmartだけでなく、TargetやKrogerなどの他の小売のデジタル化の動きも面白いですし、Instacartなどの新興プレーヤーも存在感があります。さらに言えば英国はe-grocery専業のOcado vs TescoやSainsbury’sといった新旧の小売企業がデジタル上で激しい戦いを繰り広げており、この辺りも見ていると面白いです。
とんだ間違いだったと猛省。
この巨大な企業が、これほど柔軟に変化できるとは。
私が驚かされたのは大きく3点だ。
一つ目はあくまでもカスタマーニーズに徹底的に向き合おうとしている点。コロナ禍で迅速な対応が求められる中、あくまでもカスタマーへの価値を優先し、その後磨く判断をした。
二つ目は失敗を恐れず、何事にもチャレンジしている点。やってみないと分からないからやってみる、は簡単なようでなかなかできない。チャレンジしないことによる機会損失は目に見えないが、とても大きい。私も過去に起案者として何度も悔しい思いをしたが、多くの企業が経営判断で機会(チャンス)を失っているのではないか。
三つ目は既成概念に囚われず、自分たちの強みを生かしたECモデルを生み出している点。
恐らく、必要であればリアルもECも含めて、全て組み直すくらいの覚悟があるのだろう。これだけの巨大企業が、顧客価値を起点にフラットに判断し、そして変わっている。
そして何より結果として、成果をしっかり出している。
本当に素晴らしいし、業種業界を超えて、会社規模を超えて、勉強になる。
ウォルマートが、ECビジネスの「答え」にたどり着けたのは、なぜなのか。
日本のネットスーパーのDXに取り組む10Xの山田CFOの目線で、ウォルマートのECのキャッチアップ力の凄さを解説していただきました。
それから、今期には150億ドルの投資も予定されています。これを何に使っていくのか、今後注目されます。
①ECでの購入体験の構築
②オペレーションの効率化
③OMOの体験の構築
僕が以前調査したときに、スーパーは①と②で既に壁にぶち当たり、苦しんでいました。多くのスーパーでは、店舗在庫数がリアルタイムで分からないなんて当たり前です。レジ打ちされたPOSデータを在庫管理システムにリアルタイムには反映できていないし、魚の切り身なんて魚1匹で入ってきたのをさばいて白いトレーに載せて商品化しているけれど、あれが何個作って何個店頭に出したかなんて数えていないとか。システム改修・オペレーション改善だけでいくら投資がいることか。。
③まで行けばトータルで利益は出そう、②の途中でも規模によっては損益分岐点は超えられるでしょうか?そういうレベルではないかと思います。
①〜③を超えて、食品や日用品に加え、もっと様々なものを取り込んで売って、薄利多売を脱却しないと、継続的な事業としてやる意味のある充分な利益を出すには難しそうです。だから、ウォルマートもD2Cブランドを取り込んだり、サードパーティーの商品を自社ECに載せてあげたりするのでしょう。
まだまだ先が長いジャンルだと思いますが、先んじて人柱となってくれているウォルマートには注目したいですね。
逆に言うと日本企業の中でこのような取り組みができているところが見当たらないのも事実
大きな会社を変えるには外の力が必要という総論は賛成ながら、自己変革を図る、場合によっては自己否定に繋がるような血の入れ替えとなるとそこまで踏み切れないのが本当のところではないでしょうか
その意味ではウォルマートの取り組みは本当に素晴らしいと思いますし、それだけの危機感とリーダーシップがあったということ
2009年にCEOとなったマイク・デューク氏が外部からの人材獲得を強化してから、研究開発部門の強化などに取り組んできた流れと理解してます
オンライン用に在庫を確保しておくという方法では、店頭にはしっかり在庫があるのに、売り逃すというリスクを抱えることになってしまう。これを回避するためには、センサーで商品を棚からピックアップした時点で仮に在庫からマイナスすることが必要です。
これができているのがアマゾンです。ウォルマートはこういうシステム構築にも投資しようとしているのかもしれませんね。140億ドルの投資というのはすごい金額です。
スーパーに限らず、全ての小売業は、ECとリアル店舗のますますのO2Oやオムニチャネルの最大活用、いかに制覇するかが大切ですね。
鍵は、いかに「様々なテストして結果検証分析」をするか。そして、分析結果を次に繋げるかですね。ECの分析は、ビジネス成長への宝の山だと痛感します。
小売業以外でも、学ぶところが多い。
自前主義だったウォルマートが、買収によるAmazon対応をしていくところなど、ECを伸ばすのだという意思決定の強さを感じます。
「ネットスーパー、EC化の三段階」
1 EC購入体験の構築
2 オペレーションの効率化
3 オンラインとオフラインがつながる購入体験の構築
「ウォルマートの2021年1月業績は過去最高売上高を更新」
「売り上げ全体に占めるEC比率は1割程度ですが、成長の7割がオンラインに起因」
「逆に言えば、ECをやっていなかったらほとんど成長していなかったということ」
"生鮮食品は売り場からピックアップしますが、それ以外のドライ品は、店舗横の倉庫にストックしておき、注文が入ったら出荷します。これが実現すれば、劇的に自動化されます。"