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‘’デジタルカメラの普及で本業の写真フィルム市場がほぼ消滅する危機に直面した。08年に富山化学工業(現富士フイルム富山化学)、17年に和光純薬工業(現富士フイルム和光純薬)を買収し、医療関連事業を拡大した。19年には富士ゼロックスを完全子会社化した。
21年3月期はバイオ医薬品の開発製造受託事業などが伸び、連結純利益は過去最高を更新する見通しだ。成長戦略に一定のメドがついたことから経営体制を刷新する。‘’
当時、写真フイルムに事業内容が偏っている会社の世界のトップ2は、コダックと富士写真フイルム(当時の社名)で、外部からの目線で失礼ながら、「10年後に会社はないかもしれない」と実は思っていました。(実際、コダックは2012年に倒産しました)
両社は(消耗品的要素の強い)写真フイルムからの脱却を始めなければならず、多角化の道に進みます。コダックはコア事業である映像中心に関連多角化(集中型多角化)を推進しますが、富士の方は異なっていました。ナノテクノロジーを技術ベースにするなどのテレビ・コマーシャル(化粧品事業にて)は見られたものの、あまり関連性が強い多角化には思えず、実際には非関連多角化(集成型多角化、コングロマリット型多角化)を指向している様にみえました。
非関連領域への多角化は、経験効果が生かせず、事業の成功確率は一般に下がります。このような多角化への考え方は、「望ましくない」と考えていました。しかし、多くの成功領域といくつかの失敗領域を生み出しながらも、結果的に同社の世代交代を推し進めた眼力と行動力には敬服するしかありません。極めて変化が激しい環境では、不退転の覚悟が必要で、そのことにより、「イノベーションのジレンマを跳ねのけた」ように見えます。
一方、社長就任時60歳の同氏は、現在81歳です。日本企業の年功序列制では、シニア層が退職する年齢が高く、実力があったとしても若年の内は企業経営に参画できるほどのポジションを得ることはほとんどありません。また、企業の後継者は、現職の企業トップ自らが選ぶ(欧米のように社外取締役に人事権限を委譲しない)傾向が極めて強いため、経営者が身を引く決断をしないと、いつまででも、トップに居続け、時代の変化に乗り遅れがちです。
業績で見る限り、同社がこの状態にあるとは思えませんし、同氏の功績は極めて大きかったとの意見にも賛同しますが、次なる同社の成長のために、このタイミングでCEOを退任されることは、市場でも前向きにとらえられると思います。
古森氏は2000年に代表取締役社長となり、20年間にわたって富士フイルムのトップとして、写真からプリンティング、そして近年はメディカルへのシフトをトップとして強く推し進めた。一方で「最高顧問」という形では残る。ガバナンスの議論が近年は深まる中でのこういう残り方の是非や、実態としてどう残るのかは、今後議論もされていくと思う(個人的には、各社が説明責任を誠実に果たせればよいと思っている)。
新しく社長となる後藤氏は62才、会長となる助野氏は5歳上。後藤氏は2018年にHDの取締役となっている、下記を見ると、メディカル畑のように見える。
https://bit.ly/3udUfBr
リリース:https://holdings.fujifilm.com/ja/news/list/1075
それは世界最大の「フィルム」メーカーコダックが消え去りました。(連邦法11条申請)
富士「フィルム」が勝ち残ったのは、古森氏の功績によるところが大きいと思う。
いまコロナ禍で苦しんで居られる多くの経営者の方々に、
本業が消え去る中で苦境にあっても、時代を切り拓いた古森さんの勇気と決断を伝えていってくださればと思います。
最大の賛辞を送らせていただきます。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%A1%E6%89%8B%E6%B4%97%E5%86%A8%E5%A3%AB%E5%A4%AB
・白衣に試験管のCEO、写真から幹細胞へ-富士フイルム古森氏の賭け
https://newspicks.com/news/1113012
心から、ようやく、という感覚ですし、大変に感慨深いです
古森さんが成し遂げたフイルム事業からのトランスフォームは、語り継がれるべき素晴らしい功績です
彼の判断力、強烈なリーダーシップが有ったからこそなし得たことであることは間違いないでしょう
一方で、ここ数年は、早く経営を次に移すということの判断が中々できないことが気になっていました
重しとしての古森さんのポジションが余りにも強く、社員の自主性を削る側面もあったように思います
ただ、古森会長が創出した文化は富士フイルムの中に脈々と血肉になって生きています
今後の、富士フイルムならではの飛躍に期待したいと思います