「空間除菌」の効果うたう根拠への「疑問」 専門家が論文を読むと?
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エンベロープを持つウイルスは、人間の細胞膜に融合して体内に侵入します。
▷. コロナウイルスの細胞侵入機構
http://jsv.umin.jp/journal/v59-2pdf/virus59-2_215-222.pdf
ですので、エンベロープを破壊してウイルスを不活化する薬品は、人間の細胞膜も同時に傷めます。角層であれば、その傷害はすくなくなりますが、粘膜であれば別です。
つまり、空間除菌なる製品がウイルスを不活化する程度の濃度ならば、人間の粘膜を痛めますし、人間の粘膜を傷めない程度の量なのならば、ウイルスを不活化できないことになるというジレンマに陥る…そういうふうに理解しています。
ですので、空間除菌なる製品は信用はしていません。
注目のコメント
医療機関では、「空間除菌」の効果をうたう製品を一つも使っていません。それは、日本でも米国でも同様です。
ウイルスに対する有効性に関し、十分妥当な科学的根拠が示されていれば、ウイルスへの暴露のリスクが最も高い世界中の医療機関で用いられているはずですが、現実はそうはなっていません。それが全てだと思います。
有効性が示されていないこと、有害性が懸念されることから、ベネフィットとリスクのバランスは後者に傾いており、今のところ「使わない方が良い」ものと言ってよいと思います。記事にしっかりと理由が書かれています。健康に対して、因果関係が確認さえているレベルの効果が期待できるのであれば、一般用医薬品として販売されると思いますが、そうした商品は副作用を伴うことが一般的で、効果があることの裏返しと言えます。消費者は、リスクとベネフィットを天秤にかけて使うことが必要です。医療用医薬品の区分に属する医薬品は、さらにリスクとベネフィットの両方が現れる性質のものですので、消費者自身で選ぶこともできません。(使用の是非は医師に委ねられます)
法規制の網をかいくぐる文言で、違法すれすれ(違法かもわかりません)に売られている商品は、消費者自身の意志で買えるのですが、効果もないが害もない商品であることが多く、この記事にあるように、「健康に効果があるとするレベル」の科学的な根拠を伴いません(伴っているように見せているだけです)。たまに、効果はないが害がある商品も混在しているため、健康被害の危険性はゼロではありませんが、医薬品ではないので、起こったとしても、「医薬品副作用被害救済制度」の給付対象にはならず、被害にあってしまった場合は、販売した企業の誠意に期待するしかありません。
「医学博士が学会報告」、「医師が推奨」などと謳う商法も見られます。学会報告自体のハードルは高くなく(学会にもよりますが)、そのような手法が「マーケティング手段として」とられています。結果、効果がありそうな視点であったとしても実用性が伴う段階にないなど、医薬品としての可能性に乏しい内容が極めて多く紹介されています。
また、新型コロナウイルスに関しては、「空間除菌済み」として本来必要な対策を怠ることは、非常に危険でしょう。気を付けたいと思います。巧みな宣伝を伴う商品の効果を信じながらも、一方で、高い検証を経て開発されている「ワクチン」の効果を疑うことがあったりしますので、消費者の購買行動は、なんとも奥が深いです。