朝日新聞「希望退職100人募集」のリストラ事情
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特定社名を挙げているタイトルではあるが、報道産業全体が直面する課題だ。
報道産業が今直面するのは、
・労働集約的な構造でコストが重い(もともと取材から流通までなんでも人海戦術でやってきた)
・コンテンツが限りなくマス向け且つ無料で流通する部分も多い
という複合的な問題。これでも結構単純化しているが、要は出が多いだけでなく入が加速度的に減っているわけで、年収を下げれば解決するとか、そんな簡単な話ではない。
前者は我々も報道ベンチャーとして様々な機械化ソリューションを提供するなど解き続けているが、それも外からの話ではあるのでなかなか追いつくものではないという実感がある。後者はメディア側の問題解決よりもプラットフォーム側のルールメイクが先行している。
まず問題を正しく特定し、それを速く解くしかない。朝日の記者の数は約2000人。週刊文春の記者の数は約30人。だから記事の中で、労組のレポートが引用され、人が減って、すかすかな記事しかでなくなったと嘆く組合員の声が紹介されているが、そもそも、注力すべき場所が間違っている。
クラブにはりついて、官僚や警察官、検事の情報をとって書く「前うち」が日本の新聞社の基本だが、まずこれをやめなければ、週刊文春のようなスクープは出てこない。
さらにデジタル化が進んだことに、朝日は、間違って対応している。wITHNEWS ハフィントンポストなどの無料広告モデルの出口を維持したままだから、記者が、有料版ならではの記事を書く方向にインセンティブがわかない。
ジェンダーものを書くのはいいが、バズフィードと同じことを書いていては、お金を払って記事を読もうとは誰もしないだろう。
希望退職100人は焼け石に水。売上は2020年度前期で対前年同期比でけ2割下がっている。日本の大手マスコミは、NYタイムスとかABCといったアメリカのマスコミが10年前にした苦労をやっと感じ始めたという気がします。ワシントンポストをジェフ・ベゾスが買収したのは2013年、本当の変化・苦しみはこれから来るでしょう。