東京で「第3波超え」の懸念 花見や卒業旅行で急増恐れ

長野佑介 池上桃子
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 東京都内で、新型コロナウイルスリバウンド(感染再拡大)傾向が鮮明になりつつある。約2週間前から新規感染者数の増加傾向が続き、25日時点の週平均は319・9人に上り、前週を20人超上回った。専門家は「第3波を超える急激な拡大が危惧される」と強い危機感を示すが、都庁内からは「感染防止の『特効薬』は見当たらない」と戸惑いの声が上がる。

 直近3日間の感染者数を1カ月前と比べると、増加傾向が顕著にわかる。

 2月23日(火)275人→3月23日337人。

 2月24日(水)213人→3月24日420人。

 2月25日(木)340人→3月25日394人。

 週平均の感染者数でみても、前週比で100%をわずかに上回るペースで感染者数が増え続けた結果、3月25日時点の週平均の約320人は、1カ月前より約40人増えている。「第2波」で週平均の感染者がピークだった346人(8月5日)に迫る勢いだ。第2波ではピークの後も週平均が約150人~200人の間で増減を繰り返して十分に下がり切れず、急激に感染が再拡大して第3波につながった。

 今回は週平均が250人を下回らないまま、緊急事態宣言が解除され、再び増加に転じ始めた。都が警戒するのは、第2波と同じような経過をたどってリバウンドしないかだ。

 都は24日、神奈川、埼玉、千葉の3県と共同で4月21日までを「リバウンド防止期間」と位置づけ、飲食店やカラオケ店への午後9時までの営業時間の短縮要請を継続することを表明した。ただ、25日にあった都のモニタリング会議で、専門家は「3月21日の緊急事態宣言の解除で主要駅や繁華街での人の流れはさらに増えている」と指摘。気の緩みを食い止めることができていない現状への懸念が示された。

 国立国際医療研究センターの大曲貴夫・国際感染症センター長は会議で、「第3波では、クリスマスや忘年会などの時期を経て感染拡大する例が見られた」として、「花見や歓送迎会、卒業旅行といった行事で例年通りに人の流れが増えれば、第3波を超える感染の急激な拡大が危惧される」と危機感を訴えた。

 ただ、都は、現状では時短要請以外に強い対策を打ち出せていない。ある都幹部は「コロナ禍も1年以上たっているが、いまだ感染防止の『特効薬』を誰も見いだせていない」と苦しい胸の内を明かす。(長野佑介、池上桃子)

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