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さて、日本はどうするか。日本政府の制裁の根拠になるのは外為法である。今日午前の加藤官房長官記者会見で、外為法についてやり取りがあった。官房長官は外為法に人権問題のみを直接あるいは明示的な理由として制裁を実施する規定はないと説明。あとは「国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため特に必要がある」と認めるかどうかだが、これも1964年の南アフリカ、ウクライナ情勢をめぐるロシア、北朝鮮など、極めて限定されている。
EUは今回、かなり踏み込んだ。しかし日本が中国に制裁発動する見込みは低い。
3月23日(火)午前 加藤官房長官記者会見
(記者)欧米から今回の制裁に日本も加わるよう打診を受けていたのか。また、外為法では国連安保理決議や有志国連合の協調による要請のほか日本の平和と安全の維持に特に必要がある時に限って経済制裁を課すことができるとされている。政府として人権を理由に独自の経済制裁を科すことは可能という認識か。
(加藤官房長官)欧米諸国とは日頃から様々な意見交換を行うという事でありますが、具体的にどういう外交のやり取りがあるかについてはコメントを控えさせていただいているところであります。
人権に関する制裁に関してでありますが、現行の外国為替及び外国貿易法(外為法)においては、
・資産凍結や輸出入規制の要件として、我が国が締結した条約その他の国際約束を誠実に履行するための必要があると認めるとき、
・国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため特に必要があると認めるとき、
・我が国の平和及び安全の維持のため特に必要があるとき
とされており、人権問題のみを直接あるいは明示的な理由として制裁を実施する規定はない。
なお1964年、南ア(南アフリカ)に対する措置が取られているところでありますが、これは安保理決議の義務を超えて、国際平和のための国際的努力に我が国として寄与するために特に必要なものとして実施されたものと承知しております。
新疆生産建設兵団は、もともとは人民解放軍の屯田兵で、現在は14個師団250万人から成ります。単なる軍の部隊ではなく、農業、建設、貿易、多岐に渡る製造業などを手がけて、新疆ウイグル自治区のGDPの20%を支配しているといわれます。
英国とカナダもEUと同時に制裁措置を発表しました。EUと同様の内容です。このあたりが、本当に米国と「価値観を共有する同盟国」でしょう。オーストラリアが参加できなかったのは、与党議員を含め、国内に反対の声がかなりあったためです。
米国は、すでに中国からの一部産品輸入禁止措置を含む、EUよりも大幅に強力な制裁を実施しています。
中国政府は、今回のEUによる制裁に対する対抗措置として、EUの11の個人と4団体に対する制裁を即座に発表しました。
一つに、中国は政治的な面子を重視しますから、相応に反発すると予想されますが、対抗措置は取り難いと考えられます。EU高官が中国に渡航して資産を形成しているとも思えません。
もう一つに、中国とEUが年末に合意した投資協定との絡み。実は欧州議会が、人権問題を理由に、批准に難色を示しています。しかるに欧州委員会としても、うちなる議会対策として、人権問題に抗議する意思を示さないとならない側面があるはずです。
EUの中国に対する態度が変わりつつあるのは確かなようです。
中国では北朝鮮、ロシアと立て続けに協調路線をアピールする報道がなされており、西側に対する警戒感を高めているようです。