【3分解説】ルネサス火災で「車載半導体」はもっと不足する
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注目のコメント
車載半導体大手のルネサスの工場で火災が発生しました。
まずは人的な被害がなかったことが何よりですが、自動車産業への影響は大きそうです。
車載向けの半導体を巡っては去年から米中摩擦による供給元の減少や自動車のコロナからの急回復、SMICの締め出し、テキサスの寒波での工場閉鎖、旭化成工場での火災と、予想できない事態が立て続けに起きています。
ここまで、抜群の安定感だったトヨタにも影響が出てしまうかも知れません。
昨年末からの動きを、コンパクトにまとめました。今回の火災と、自動車全体について。
ルネサス那珂工場は、東日本大震災でも被害が大きかった。①でその時の復旧スケジュールを描いたが、記事にあるように半年弱。ただ、①でコメントしたが個人的にはその時より工場単体としては被害が大きいのではないかと思う。クリーンルームは洗浄度がキーで、火災で煤が発生しているのが気になっている。
そして、装置も焼損している。震災時にどれだけの装置が壊れて代替が必要だったか知らないが、装置のリードタイムも数か月。そして今は装置業界も活況…1か月で復旧を狙っていると同社の記者会見ではあったが、装置などの算段含めて気になっている。
そのなかで自動車チェーン全体には、②でコメントしたが同ラインでの生産品のうち2/3が自社の他のラインやファンドリに出せるが1/3は出せない。
自動車は様々な部品を組み合わせて作る。逆にどれかが足りないと止まるということがあり、車載半導体が火災前からボトルネックとなっていたのはここが背景。ルネサスのシェアと上記のリードタイムを考えると、1-2か月は各メーカー在庫があると思う(車載半導体がタイトという話も12月くらいから出始めて、生産調整が発生したのが1-2月)が、それよりはるかに復旧までに時間も足りない量も発生する。自動車各社の決算での2021年度フォーキャストがどうなっていくか…
①https://newspicks.com/news/5702840
②https://newspicks.com/news/5704150自動車部門は鉱工業生産でもウェイト最大ですし、産業連関表でも生産誘発係数トップですから、鉱工業生産や景気動向指数、GDPなどの主要マクロ指標に影響が及ぶことは不可避でしょう。