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新型コロナ【ワクチン】の安全性とリスクについて皆さんに伝えたい本当のこと。~医師の視点~


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こんにちは、医師・医療経済ジャーナリスト森田です。


日本でも春先から順次接種が開始される?と言う噂の新型コロナワクチン。


「早く打ちたい」

という方も

「ちょっと不安」


という方もいらっしゃるかと思います。


今回は、そんなみなさんへ、

新型コロナ【ワクチン】のリスクと安全性について、皆さんに伝えたい本当のこと。~医師の視点~

と題してお伝えしたいと思います。


最初に言っておきますが、僕はいわゆる「ワクチン否定派」でも「ワクチン推奨派」でもありません。毎年のインフルエンザワクチンは、「効果は微妙だろうな〜」と思いながらそれでも打ってます。メリットがいまいちながら、歴史が長く安全性もそこそこ信頼できるからです。話題のHPVワクチンは、子宮頸がん発症率の大幅低下という多大なメリットが有ることから積極的に「推奨」しています。今回の新型コロナワクチンは…下記で述べます。どんなワクチンでも薬剤でもメリットもありデメリットもあるわけですから、それらを天秤にかけて考えている、ということです。



論点は以下の3つ




1.ワクチンの効果はかなり高そう、短期的な安全性も問題なさそう。


今回の新型コロナワクチン、当初は

「インフルエンザワクチン、打っても結局かかるじゃん。新型コロナのワクチンもそんな程度なんじゃないの?」

と裏で囁かれていたとか言われていましたが(ほんとか?)、蓋を開けてみたら、これがびっくり!

意外にも感染防止効果も重症化防止効果も、かなり高いことがわかってきました。


例えばこちらの論文にはこんなグラフが載っています。


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↑プラセボとは偽薬のこと。(つまりワクチンを打たなかったということ)


「Safety and Efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine」
N Engl J Med 2020; 383:2603-2615
DOI: 10.1056/NEJMoa2034577
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2034577


ワクチン打たなかった人 → 1000人中 23人感染
ワクチン打った人    → 1000人中  3人感染



感染が1/8 まで減ってる!かなりの効果ですね。

さらにこのワクチンは感染を減らすだけでなく、同じく重症化や死亡も減らすと言われています。すごいですね!


さらにさらに、副作用(副反応)の方ですが、これも問題ない範囲だと思います。確かに、昨今TV等でよく言われている「アナフィラキシー(投与直後に表れる全身性のアレルギー反応、命に関わることもある)」は、既存のワクチンよりちょっと多いようですが、でもみんなが風邪の時気軽に飲んでる抗生剤(抗生物質)よりはだいぶ少ない。そういう意味では安心ですね。


◎アナフィラキシーの頻度

  既存のワクチン →100万人に1人
新型コロナワクチン →100万人に10人
     抗生剤  →100万人に100人


以上を一言でいいますと、

ワクチンの効果はかなり高そう、短期的な安全性も問題なさそう。

ということになると思います。




2.長期的な副作用(妊婦・生殖機能などへの影響)は不明


通常、医薬品の販売/流通が認められるまでには、長い年月がかかります。少なくとも2〜3年、実際にはもっともっとかかるのが通常です。

そうした長いテスト期間を経て、長期的な副作用などもチェックされた上で、初めて一般に流通するわけですが…

今回の新型コロナワクチン。皆さんご存知の通り、そもそも武漢で新型コロナウイルスの出現してからまだ1年ちょっとしか経っていないわけで、そんな短い期間で急ピッチに作られたワクチンですから「長期的な副作用」なんてチェックされてるわけがないのです。

長期的な副作用とはなにか?

過去の実例で言えば「サリドマイド」がわかりやすいでしょう。

サリドマイドは60年ほど前に発売された睡眠薬です。当時は「理論的には安全」と言われ広く流通したのですが、次第に「奇形児が生まれる可能性が高い」と言うことが判明してきて、その5年後には禁止されました。(サリドマイドの催奇性が理論的に解明されたのはその40年後です。現在は多発性骨髄腫の治療薬として、妊婦以外では使われています)



映画「典子は今」が有名です。

スクリーンショット 2021-03-14 21.44.49

https://www.youtube.com/watch?v=Eh-8MVOJ6Ig


その他にも「薬害エイズ」や「薬害肝炎」も同じく、当初は「安全」と言われていたのに、あとになってHIVや肝炎ウイルスが発症例が多数報告されました。


これらのように、「理論的に安全」と言われたにも関わらず発生してしまった数々の薬害を経験し、その結果医学は謙虚にも「長期に渡る臨床試験」を自らに課してきたのです。


注:この記事を書いている3月16日早朝、下記のようなニュースが入りました。フランス、ドイツ、イタリア、スペインがアストラゼネカ製の新型コロナウイルスワクチンの使用を一時的に止めるとのこと。接種後に血栓ができる副反応の疑いが各国で報告されたため、だそうです。血栓形成の副作用が本当に多いのかはまだ不明ですが、こうした想定外の副作用が後から判明することは往々にしてある、ということを示す一例だと思います。


つまり、今の医学・科学ではわかっていないこともあるし、想定しなかった副作用が出てしまうことだってあるのだから、理論ではなく、実際に人体に試験的に投与してみて、それから実際にみんなに使うことにしよう、というルールを作ってきたわけですね。

で、今回のワクチンはその部分をかなり端折っているわけです。
というより、そもそもまだ出来てからまだ日が浅いのですから、長期的なことはわかるわけないのです(^_^;)

また、妊婦さんは今回の新型コロナワクチンでは臨床試験の対象にはなっておりません(他の薬剤でもこれは同じ)。承認後の今になってようやく一部で臨床試験が始まったようです。胎児・新生児への影響まで調査されるかよく分かりませんが、例えそうだとしても結果が出るのはまだまだ先になりそうです。(以下2021年2月19日のニュース)


ということですので、


長期的な副作用(特に妊婦・生殖機能などへの影響)は不明


ということになるでしょう。

もちろんこうしたサリドマイドや薬害エイズのような大きな薬害は、何千とある医薬品の中でもごく一部にしか発生しません。また今回のワクチンで使われるmRNAは体内に入ってすぐに消えるとのこと。ですので、確かに「理論的には安全」なのでしょう。しかし、上記の通り、数々の薬害も当初は「理論的には安全」と言われていましたし、今回のはほとんど人体に投与した経験のない新しい技術で作られているワクチンでもあります。
客観的に考えて次世代に影響を残すような重篤な副作用が発生することは確率的には非常に低いのかもしれませんが、その可能性は決してゼロではないということですね。




3. 日本の若者に接種すべきかは疑問。


冒頭でお話したように、薬やワクチンはメリットとデメリットを天秤にかけて考える必要があります。

欧米では強力なロックダウンが行われているにも関わらず、日本の何十倍ものコロナ被害が出ていますから、長期的な副作用が不明な現段階でも、「そんなこと言ってられない!」と慌ててワクチンを導入する気持ちもわかります。あるのかないのか分からないワクチンの副作用よりも、多くの命が救えるという社会全体の利益・メリットの方が遥かに大きいということでしょう。

では、日本ではどうでしょうか?


グラフの通り、日本はコロナ被害は欧米と比較すると破格に少ない状況です。

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3月14日時点でのG7各国の人口100万人あたり新型コロナ死亡者数
出典:Johns Hopkins University Coronavirus Resource Centerhttps://coronavirus.jhu.edu/



欧米の国々の検査陽性者数や死者数が、ワクチンを打ったおかげで仮に9割減ったとしても、それでも日本の被害のほうが少ないのです。

つまり、現在のところ日本人は欧米人に比べて新型コロナで死亡するリスクが圧倒的に低く、これはつまり、

日本ではワクチンを打つメリットが欧米に比してかなり小さい

ということです。

とはいえ、日本でも3月現在で8000人程度の方々が新型コロナウイルスによって命を落としたと言われています。ですので、ワクチンでもしそのうちの9割の方々が助かるのならばそれはとても素晴らしいことです。


ここで考えるべきは、コロナウイルスの被害を受けている年齢層です。実は、日本では、新型コロナウイルスの重症化・死亡例は、ほとんどが高齢者。3月時点の死亡例のうち、60代以上が96%、50代以下が4%です(出典:https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000751942.pdf)。

日本の若者で言えば、これだけ国中を上げてコロナ被害に大騒ぎしている中で、

・0〜9歳はこれまで一人も重傷化せず、死亡者はゼロ。
・10〜19歳でも同じく重症化も死亡もゼロ。
・20〜29歳でやっと死亡が3例

となっています。ちなみにインフルエンザでは毎年100人くらいの小児寝たきり重症例・死亡例があります。

つまり日本の若者について言えば、

新型コロナウイルスはインフルエンザよりも遥かに怖くない

ということが言えるのです。

大人でさえ欧米よりリスクが圧倒的に低いのに、若者にとっては、更にそれですらないのです。ワクチンを打つメリットは限りなくゼロに近いでしょう。

一方で、上述のように

長期的な副作用(特に妊婦・生殖機能などへの影響)は不明

というデメリットは厳然として存在しています。


メリットとデメリットを天秤にかけて考えると、個人的には


日本の若者に接種すべきかは疑問。


ではないか、と思っています。


もちろん、国全体で集団免疫を得るためには若者のワクチン接種も必要、という議論はあるでしょう。
ただ、

リスクが限りなくゼロに近い若者に対して、「国全体の利益のためなんだから、妊娠出産などへの長期的な副作用のリスクには目を瞑れ」

という全体主義的な論調には大いなる違和感を感じます。個人的に強く反対の意を表したいと思います。

特に最近、医学科や看護科など医療系の学生さんたちの病院研修に際し、病院側から「新型コロナワクチン未接種の学生お断り」という通知が出ることが予想されたり、若い研修医や看護師さんに対して組織的な圧力(接種希望の有無の名簿を回覧するなど)がかかったり、と言う話を聞いています。

上記は伝聞情報なので不正確かもしれません。しかし、学生の病院実習の際はこれまでも既存のワクチン接種歴のチェックと未接種者への接種は普通に行われていたので、こうした事態になる可能性はかなり高いと思います)


ワクチン接種は個人の自由意志で決定されるべきものです。
少なくとも未来ある若者に対してそうした社会からの圧力は決して許されるべきものではないでしょう。

こうした事情を踏まえた上で、接種をするのか、しないのか、よく考えて決めていただければ、幸いです。


追伸:せっかく医療業界全体でワクチン接種を勧める方向で動いているのに、それに水を差すこのような記事には非難が集まるかもしれません。
ただ、効果が大きいというポジティブな情報も大事ですが、分からないことを分からないとはっきり言う姿勢もとても大事で、それも科学的な態度だと思います。
また、感染症を抑えるという視点が強調されがちな世間の空気ですが、それだけでは判断を謝ります。社会全体の最適解を模索するのも医師の役割だと僕は思っています。
だって、医師法第1条には、「国民の健康を確保する」のが医師の仕事だと書いてあるのですから。


以上、「新型コロナ【ワクチン】の安全性とリスクについて皆さんに伝えたい本当のこと。~医師の視点~」でした。



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■以下は、「いいね」を4万5千いただいた記事です。コロナ第1波直前4月のものですが、今読んでも読み応えは変わらないと思います。​

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夕張に育ててもらった医師・医療経済ジャーナリスト。元夕張市立診療所院長として財政破綻・病院閉鎖の前後の夕張を研究。医局所属経験無し。医療は貧富の差なく誰にでも公平に提供されるべき「社会的共通資本」である!が信念なので基本的に情報は無償提供します。(サポートは大歓迎!^^)