ドイツ2州の議会選挙、メルケル首相率いる与党CDUが歴史的大敗
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ドイツの州議会選挙は、州により異なりますが、概ね比例代表制度です。
もともとバーデン・ビュルテンベルク州の場合、州政府は同盟90/緑の党が首班であり、それにキリスト教民主同盟(CDU)が参加する緑黒連立政権です。得票率は同盟90/緑の党が上昇、CDUが低下とありますが、CDU分が自由民主党(FDP)に振り替わった部分もありそうです。いずれにせよ、120ある議席配分は開票率4割弱の現段階ではそれほど大きくは変わらない模様です。
ラインラント・プファルツ州の場合は社会民主党(SPD)に緑の党、FDPが参加する信号連立政権。得票率が伸長したのは緑の党と中道右派の「自由な有権者」党(FW)の2つ。ともに議席増(FW党は前回ゼロ)が見込まれます。
緑の党ブームは構造的な流れで、CDUがそれに押された感じは否めません。一方で、CDUに対する失望?がFDPやFWに流れた感じもあるはずです。歴史的大敗という表現はミスリード気味です(おそらく獲得議席が数席に減り、過去最少を更新しそうだからでしょうが、地図が塗り替わるほどでは無い)。いずれにせよコロナ対応への「失望」とまでは言えない感じがする反面、9月の国政選でコロナ対応が評価される形でCDUが大勝する流れでもなさそうです。昨年時点から独における州議会選挙は、与党CDUの議席減少と環境政党緑の党や極右AfDの台頭という潮流が形成されていました。昨年と違うのは英国が企業による気候変動影響開示義務を2025年までに完全実施すると表明し、EUではESG観点から見た金融商品の特性・評価をファンドマネージャーに義務付けるサステナブルファイナンス開示規則の適用が開始されるなど、環境配慮の政策が具体化しつつあることです。他方、コロナ影響を受けた経済を回復させるための刺激策とこれらの潮流をどのように両立するのかが注目ポイントです。日本では経済回復と感染者増加問題の天秤ですが、欧州ではそこに加えて環境のファクターが強く存在しています。これらの対応は今後の日本の動きの参考にきっとなるはずです。