【太平洋戦争下における日米航空産業の生産管理技術の懸隔に関する考察 / 前編】-大量生産ノウハウの蓄積の観点から-
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めっちゃ面白かった。太平洋戦争時の日本とアメリカは、トップエンジニアの設計能力の高さも匹敵していたし、また工場に投入された労働者の数や熟練度も、実はほぼ同じレベルであった。それにも関わらず彼我の生産性は雲泥の差だったが、そのポイントは『生産管理技術力の差』であり、トップを支えるミドルエンジニアの人材育成不足であった…と説き明かす論考。
おそらくはこの時米国にはるかに追いつかなかった技術力が戦後に成熟を迎えた結果が日本に高度成長期をもたらした、ということなんだろうなあ。お恥ずかしながら知らないことばかりで正直驚いている。
生産管理、製造技術のノウハウがあまり整理、蓄積されていないなぁという感触はあったが、最近のことかと思っていた。
「1944年の零戦のそれは10,000人H、(中略)一方、米国のP51「マスタング」は2,700人H」
「機体組立部門における米国の女性労働者数は、2万人弱から、37万人に急増しています(航空工業全体に占める女性労働者の割合は、1943年末の米国が36.6%、同時期の日本が10%、1945年2月には29.7%)。未熟練工が生産を担っていたのは米国も同じ」
「品質面では、軍の主導でアメリカ戦時規格(AWSZ1.1~1.3)が定められ、軍需生産におけるプロセス品質管理が確立」
「1941年7月に労働者一人当たりの一日の航空機生産量は重量換算で1.42ポンドでしたが、1944年7月には2.76ポンドへとほぼ倍増しています。同じ期間、日本では0.63ポンドから0.71ポンドへと僅かな改善が見られたに過ぎず、1945年には0.42ポンドへと急落」