命をかけてデモに参加するZ世代 ミャンマー・民主主義の奪還を求めて
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多くの尊い若者の命が奪われていますが、抗議運動はますます強固に広がりつつある印象です(ミャンマー在住です)。
現地では、「Z世代」に加え2つの世代も話題に登ります。
Z世代:2011年の民政化を経験した10〜20代
Y世代:人生の大半を1988年以後の暗い軍政化で過ごした30〜40代
X世代:1988年の流血を伴う民主化運動を経験した50代〜
今回のクーデターが起こるまでは、世代間の価値観の差が大きく分断され、特にZ世代は政治に関心がないと思われていた世代で、「近頃の若者は、、、」と思われいたようです。それが今は、Z世代の柔軟性や行動力に驚き、上の世代がZ世代を後ろから支え、世代を超えた団結によって抗議運動が形成されています。
抗議運動の手法は、軍の暴力的な鎮圧に対応して、目まぐるしく変化しています。記事にあるようなウェディングドレスを来たり、大通りでライブを行ったり、各国大使館前でのデモは、すでに行われていません。
軍による暴力的な鎮圧を避けるために、町の中心部での大規模なデモは避け、地区ごとに分散型の小規模デモが無数実施されています。さらにここ数日は、短時間でデモを行い、軍が駆けつけた時にはすでに解散しており、デモの様子は後ほどFacebookniアップしたり、夜間にデモを行ったり、地方の少数民族の武装勢力が警護したり、とデモの形は日々柔軟に変化し続けています。
先日、抗議運動に積極的に参加しているZ世代の社員がFacebookでつぶやいていた言葉は、今の彼らの悲しい強い覚悟を代弁しているように思います。
「クーデター下では、結婚する気になれない。失うものがない独身のままがいい。後に残す人を心配しなくていい。」
できる限り多くの日本の方々にも、ミャンマーで起こっていることに関心を寄せて頂ければと思います。
注目のコメント
2ヵ月前まで若い世代は、これからのミャンマーの成長で、生きている間に所得が10倍にも20倍にもなっていくことが、確実に手の届く未来として見えていました。
ミャンマーの国軍というのは、経済の統治能力からいえば、中国共産党にも遠く及ばず、朝鮮労働党よりひどいかもしれません。インターネットなど無い方がよいくらいの価値観だし、何なら原始的な農村経済の方が理想的というくらいです。東アジアの社会に潜在的につきまとっている、自給自足の農村社会への回帰願望のようなものが、国軍には特に強くあります。
国軍は、1960年代から80年代までは、「ビルマ式社会主義」を国是として軍政を敷き、仏教を根幹に据えた、農業と農村的生活を基本的ライフスタイルとする社会主義と称していました。外国の文化と外国の資本を拒絶し、「国軍は父である」と国民に教育しました。これが国軍の理想と論理であり、2010年代の資本主義化したミャンマーの急発展は、堕落としか見えなかったでしょう。
ミャンマーの若い世代が立っているのは、2か月前までは確信していた未来に続くルートに立て直せるか、それとも「ビルマ式社会主義」の時代に逆戻りするか、という分かれ道です。Z世代は、おおむね1990年過ぎ~2000年初ごろの生まれとされます。ミャンマーのとりあずの民政移管は2011年。つまり、ある程度社会や政治情勢についての関心を持てるようになった年齢のころには、すでにミャンマー社会が海外にも開かれていた時代と重なります。彼らが生まれる前、あるいはまだ幼い時代よりも以前のミャンマーの状況を考えると、絶対に戻りたくないと感じるでしょう。
ミャンマーは第二次大戦後、ほとんどの時間を軍政下に置かれてきました。そこから民主主義を勝ち取ったという歴史の重みは、外から理解しようとしてもしきれないものがあるかもしれません。