SAKE DIPLOMAチャンピオンと語る日本酒の魅力
はじめに
今回は特別編と致しまして、対談記事を公開させていただきます。
お相手は、2019年に開催された第1回SAKE DIPLOMAコンクールで、見事優勝された山内 祐治さん。当時、私も一緒に本戦を戦わせていただいた戦友でもありますが、その後も山内さんから多くの刺激をいただいています。
本日は山内さんからどんなお話を伺えるのか。私も楽しみで仕方がありません。
今回の流れと致しまして、お互いに相手に聞いてみたい質問をそれぞれ3つずつ問いかけ、それに対して応えていく対談形式でお届け致します。
ぜひ最後までご覧くださいませ。
コンクールに向けての準備について
田邉:山内さん本日はよろしくお願い致します。ではまず、現在の活動についてお伺いできますか。
山内:田邉さん、本日はお声がけをいただきありがとうございます。かしこまりました。現在私は、上野と本郷の間にあります湯島と言う下町で、寿司屋の四代目として日々板場に立っております。
重ねて、ワインスクール アカデミーデュヴァンにてSAKE全般の講師として教壇に立っており、他にもテイスティングノートや日本酒に関する記事を書かせていただいてます。
田邉:さすがSAKEに特化されたご活動をされているんですね。では早速ではありますが、私からの一つ目の質問に移らせていただきます。
田邉:SAKE DIPLOMAコンクールの準備の際、最も大変だったことは何でしょうか。
山内:そうですね、やはり第一回目のコンクールと言うこともあり、何をどこまで準備したらいいものやらと言う思いの中準備していくというのが一番不安な部分でした。
例えば、その準備はテイスティングなのか、現状の知識なのか、それともサービスなのか…などなど、あげるとキリがなかったですね。
そもそもわたくしは、これまでコンクール出場の経験がなく、準備方法がわからないことが自分の弱い部分なのだろうと思いました。果たしてコンクールでどのようなことを問われるのか、というところから考え始めるイメージでした。
しかしながらそれを助けてくれたのが周りにいた皆さんで、その皆さんとはブラインドテイスティングコンテストの優勝者やワインエキスパートコンクールの本選出場者でした。こういった先輩方に少しずつ状況やコンクールの印象を教えていただきましたし、日々の営業がたくさんのヒントを産んでくれました。つまり皆さんに支えていただいたことが結果につながったのだと思っています。
田邉:山内さん、コンクール初出場だったんですね!決勝を見ていると、とてもそんなふうには見えませんでした。初出場で初優勝。本当に素晴らしいです!
ワインと日本酒の勉強の違い
山内:かつてワインを中心に勉強してきた田邉さんが日本酒を勉強するにあたり、苦労された事は何でしょうか?
田邉:ブラインドテイスティングですね。ワインと日本酒のテイスティングは似ているようで非なるもの。
外観、香り、味わいから結論を導いていくという流れや、ある程度コメントに馴染みがあるものが多いため、ワインのテイスティング理論をそのまま当てはめてしまいがちなのですが、実は求められている結論が違います。
脳をスイッチできなければ苦しみ続けることになる。具体的なその違いに関しては、話すと長くなってしまいますので、またあらためてお話をさせていただきたいと思います。
SAKEの伝え方
田邉:山内さんがスクールでSAKEについて伝える時に気をつけていること、意識していることをお伺いできますでしょうか。
山内:田邊さんもおっしゃっていたことですが、日本酒とワインはテイスティングにおいて大きな差があるとおもいます。そしてその差は日本酒においては醸造の流れの中で起こってくるものが大きいと私は考えております。まずは皆さんにこの差を意識していただくこと、さらにはこの差を生むためにどのような原因があってこの結果がもたらされたのかに意識を向けていただきたいと思っています。
翻ってわたくしの授業の時間では皆様に距離の近い言葉や距離の近い感覚でお話をさせていただくことが多いです。例えばですがわたくしが普段慣れ親しんでいる料理やお寿司でお酒の造りを例えることもしています。
最初は複雑に感じる日本酒の醸造の流れへの距離を少しでも縮めたいと思っています。
日本酒のペアリング ワインのペアリング
山内:日本酒をペアリングする時とワインをペアリングする時、見ている部分は変わるのでしょうか?
田邉:基本的な考え方は似ていますが、現在のところ「テロワール」を合わせるという意味では、ワインの方が幅が広いということ。そして、白、ロゼ、赤、オレンジ等のタイプが存在するのがワインであり、日本酒とは大きく変わってきます。
逆に日本酒には生酛系やアルコール添加酒等、造りによって合わせる料理を変えていきます。そして日本酒は飲用温度の幅が、ワインと比較して圧倒的に広いという特徴もある。
こういった観点から見ると、多くの違いがありますので、「ワインにしかできない」「日本酒でしかできない」というペアリングも存在し、その両方の素晴らしさをお伝えできればと思い、日々発信をしています。
日本酒を学ぶことの喜び
田邉:山内さん!これから日本酒を学ぼうと考えている方に一言お願い致します!
山内:日本酒は造り方や温度によって、非常に様々な表情を見せてくれます。そのバラエティーの広さは、そのままペアリングするお料理の幅にもつながると思っています。
和食はもちろん、中華料理やナチュラルチーズなど、本当に多くの食材と組み合わせて新たな魅力を双方引き出せる。ここが日本酒のとても楽しいところです!
おいしい料理、食材をおいしい液体と一緒に楽しみたい、というある意味純粋な気持ちを満たすために、ぜひ皆さんも日本酒を学んで楽しんでいただけたら嬉しいです!
こちらに関しましては、田邊さんやわたくしがお手伝いできると思います!笑
山内:それでは最後にわたくしからも、これから日本酒とワインを両方勉強される方に、その楽しさについて、教えてください!
田邉:私はSAKE DIPLOMA資格、SAKE DIPLOMA INTERNATIONAL資格、SAKE DIPLOMAコンクール、全て第1回開催時にチャレンジをしました。
それはなぜかというと、日本人として、日本が誇る伝統であり、国酒である日本酒を学ぶ必要性を強く感じたからです。
ワインと同様に日本酒の世界もどんどん変化してきています。もちろん素晴らしい方向へ。
そしてワインと同様に日本酒も、知れば知るほどにより美味しくなり、より感動を与えてくれる。
毎日の食事を楽しむことは、人生自体の大きな喜びにも繋がります。そこにワインや日本酒があり、その知識があれば、楽しみ方の幅は大きく広がる。
それぞれを学んだからこそ見える景色というものが存在するのです。
田邉:ではそろそろお時間となりすので、今回は以上とさせていただきます。
山内さん、突然のお声がけにも関わらず、心よくご対応くださり誠にありがとうございました。私自身、とても勉強と刺激になりました。また次回、色々とお話できる日を楽しみにしています。
山内:田邉さん、こちらこそ素晴らしい機会をいただきありがとうございました。次回も楽しみにしています!
終
山内 祐治|すし初 四代目
40歳 第1回J.S.A. SAKE DIPLOMAコンクール優勝 ワインスクール アカデミー デュ ヴァン講師
J.S.A.機関誌Sommelierにて、SAKE DIPLOMAの連載 湯島天神下 すし初 四代目
飲食激戦区、湯島に大正からある江戸前鮨屋に産まれる。祖父に連れられ「ちいさな四代目」として3歳から築地の魚市場へ。
大学卒業後、築地、東銀座にて厳しくも情熱的な修業のち、四代目若旦那として店に戻り、さらなる修行の日々。
旬の食材と旬の日本酒との相性を総合して今日もお客様にご提供中。
▶︎アカデミー・デュ・ヴァン 講師紹介ページ
https://www.adv.gr.jp/teachers/detail/286
田邉 公一 |ワインディレクター
43歳。タイソンズ アンド カンパニー、アニス、アミュゼ、マイアム、とさか六本木のワインディレクター。ワインスクール レコール・デュ・ヴァン講師/ワインや日本酒のコメンテーター、プロモーション活動も積極的に行っている。Twitter(@tanabe_duvin)
* 2007年 第6回 キュヴェ ルイーズ・ポメリーソムリエコンテスト 優勝
* 2019年 第1回 SAKE DIPLOMAコンクール セミファイナリスト
▶︎レコール・デュ・ヴァン 講師紹介ページhttps://www.duvin.jp/instructor/tanabe
最後までご覧いただき、心より感謝いたします🥂