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元鉄鋼エンジニアです。
大手鉄鋼メーカーには高炉メーカー(日鉄、JFE、神鋼)と電炉メーカー(大同特殊鋼、愛知製鋼、山陽特殊製鋼等)2種類あります。鉄づくりはチョコレート作りに例えると分かりやすくて、高炉メーカーは鉄鉱石(カカオ)から鉄(チョコ)を作って、電炉メーカーはスクラップ(既存のチョコ)から鉄(チョコ)を作っています。

高炉では鉄鉱石から鉄成分を取り出して鉄を作り、電炉では使わなくなった鉄を溶かしてもう一度固めて鉄を作るという違いです。両者とも莫大なエネルギーを使い、莫大なCO2を排出します。

一般的に「電炉」というとスクラップに電流を流してその抵抗熱を利用して鉄を溶かす炉を意味するのですが、今回は高炉のエネルギー源を電気に置き換えるという意味で電炉と表現されています。石炭はLNGや他のエネルギーに比べるとCO2排出量が多いのでここの技術開発は楽しみです。

ただし、鉄づくりは熱との戦いで製品(鉄)を伸ばしたり加工したりする段階で
どうしても再加熱や熱処理が必要です。ここのエネルギー量もハンパなく、CO2排出ゼロにするにはかなりハードルが高い。なのでCO2を貯蓄したりすることで排出分をカーバーして『実質ゼロ』を目指す表現になっていると思います。
こうした環境負荷低減への動きは、ここ数ヶ月で特に各社で加速していると思います。
同時に先日の日経新聞記事(緑の世界と黒い日本 「再生エネが最安」電源の主流に:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR17EWR0X10C21A2000000/)によると、日本は電力の再生エネルギー比率が低いだけでなく、その価格が非常に高いことが指摘されていました。
先日のトヨタ自動車の豊田章男社長の発言にもありましたが、電気ならエコなわけではなく、電源をどのようにエコなものにするのかも同時に問われていると思います。
加えて、高炉から電炉への転換は、クリステンセンとレイナーの『イノベーションへの解』にも取り上げられた破壊的イノベーションの一つですが、過去の自分の認識では、単に製造方法のみならず作れる製品の差、ひいては顧客の差異にもつながるように思え、そのあたりの技術的差異は現在どうなっているのだろうかと思いました。
温室効果ガスの排出量が多いとされた世界上位100社に加え、Climate Action 100+に参加している機関投資家が選定した61社の計161社(この161社で世界の温室効果ガス排出量8割超)については、問答無用でこの目標を掲げざるを得ません。

日本からは、ダイキン、日立、ホンダ、JXTG、日産、パナソニック、スズキ、東レ、トヨタ、そしてこの記事に登場する日本製鉄の10社が対象になっています。

CA100+に参加している機関投資家は、161社の企業に対して協働してエンゲージメントに参加、パリ協定の目標を達成するために気候対策を促していくことになっています。
来月22日の気候変動サミットや11月のCOP 27などを見据えて各国のコミットメントが試されています。各企業の環境関連対策も待ったなしの状況です。
一方で製鉄は日本の主力産業でもあり、カーボンニュートラル化によるコスト増加が国際競争力の観点で不利に働かない様に国境炭素税の導入とセットで議論する必要があると思います。

https://this.kiji.is/730525252502077440?c=113147194022725109

また、2050年目標も大事ですが、最近では2030年が注目されつつあります。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR2501V0V20C21A2000000/
バイデン政権誕生で一気に気候変動対策へのグレートリセットが起きているなかで、本日の日経新聞朝刊でも、「第1生命、保有株見直し、投資先CO2、25年に3割減」、「中国、石炭火力なお増加—欧米では廃止が優勢」等の記事が掲載されています。今朝のNHKでも、「日本製鉄 “CO2排出量実質ゼロ”を2050年までの目標にする方針」というニュースも流されていましたが、日本でも大手製造業側と機関投資家側双方に気候変動対策への「約束」(Pledge)が迫られています。
私自身も様々なメディアにおいて、欧米における気候変動対策の背景にあるのは、「環境正義」(Environmental Justice)という正義感と各国のビジネス覇権争いという本音があると指摘してきましたが、日本においても、もはやエネルギー政策を大きく変更するところから手をつけていかないと、個別の企業の対策だけでは手に負えない状況にまで陥っていると分析しています。
特に気候変動対策に求心的な動きとなっている機関投資家の集まりであるClimate Action 100+が日本企業10社を含む「世界で最も環境に悪影響を及ぼしている上場企業161社」を名指して改革を求めている一方、日本の機関投資家も続々とClimate Action 100+に署名していることが象徴的だと思います。

本年は完全オンライン開催となったCES2021に参加してみて、私自身が最も大きなインパクトを受けたのは、独のメガサプライヤーでありIndsutry4.0のリーダー格でもあるボッシュが、「2020年中に自社のサプライチェーン全体でカーボンニュートラルを実現した」「その仕組みを本年からビジネスとして事業展開していく」と発表していたことです。

上記の日本企業10社の多くが自動車産業の企業であることを考えると、ドイツの自動車産業の中核的企業であるボッシュの昨年時点でのカーボンニュートラル達成は、まさに「環境正義」という大義と「ドイツの国を挙げてのビジネス覇権の獲得」という本音からの両面によるものだと分析されます。日本でも、「環境正義」という大義と「国を挙げてのビジネス覇権の獲得」という本音からの両面による気候変動対策やエネルギー政策が早急に求められています。
国内の製造業が排出するCO2の4割を鉄鋼が占めます。欧州は政府主導で資金を投じてグリーン製鉄への方向転換を加速しています。EUが鉄鋼製品を対象に国境炭素税を導入すれば日本の競争力を失われかねない状況。対応は急務です
これは大きなニュース。製鉄会社が「実質ゼロ」を実現するのは、技術的にもなかなか難しいからです。でも、このように目標を打ち出せば、本当に実現へと向かい始めます。っ
日本製鉄が2050年までに二酸化炭素の排出量を実質ゼロにする目標を打ち出す方針を固めたとのこと。これを実現するには「5兆円規模の巨額の投資」が必要になる見通し。
みなさん、既にご理解されているとは思いますが、念の為に書いておきます。

自前で必要な電力を再生可能エネルギーで発電するか、火力発電依存を低減しない限り、日本で「電力を使っても、CO2排出量は低減できない」ことを認識しておく必要があります。

「石炭の代わりに電力を使う」と言っても、その「電力は石炭で発電したもの」であれば意味がないということです。

(以下、記事中から引用)
具体的には石炭の代わりに電気を使って鉄を作る「電炉」で質の高い鉄を生産する技術や水素を活用して鉄を作る全く新しい技術の研究開発を行い、実用化するとしています。

※個人的な見解であり、所属する会社、組織とは全く関係ありません
先日は日立も発表
2012年に新日本製鐵と住友金属工業が経営統合し新日鐵住金が発足。2019年に日本製鉄に商号変更。粗鋼生産量では国内首位。ASEANメーカーとのM&Aを進め、海外事業を強化。
時価総額
3.58 兆円

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