2021/3/13

【成功者の独学術】自分の市場価値を上げる勉強法

NewsPicks アナウンサー/キャスター
火曜夜10時からNewsPicksとTwitterで配信中の「The UPDATE」。

3月9日のテーマは「自分の市場価値を高める独学術とは?」。

成毛 眞氏(元日本マイクロソフト社長/HONZ代表)、小宮山 利恵子氏(スタディサプリ教育AI研究所所長/東京学芸大学大学院教育学研究科准教授)、柳川 範之氏(東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授)、山口 真由氏(信州大学特任准教授/ニューヨーク州弁護士)に効果的な勉強法をうかがった。
終身雇用が終焉を迎え、ジョブ型やギグワークと言われているプロジェクト型雇用が生まれた。パラレルキャリアの考えが広がる中、会社に頼らず「個人で稼げる人材」となることが求められている。
このような環境変化に適応するための学び直しの方法として、今「独学」に注目が集まっている。
しかし、実際に学び直しをしている人は16.9%にとどまり、「時間がない」「何から始めればいいか分からない」ということが理由に挙がった。
自らの市場価値を高めるために、どのように独学を進めるのが効果的なのか?心構えやスタンス、アウトプットに活かすためのノウハウを伝授してもらった。
INDEX
  • 今、独学をするべき理由
  • 明日からできる独学勉強法
  • 賢者の読書術
  • 完璧を目指さず同時並行でいい
  • 今回のキングオブコメント

今、独学をするべき理由

成毛 独学しかできなかった、独学ネイティブ
授業中は落ち着いて座っていられないような子どもだったので、独学でしか勉強する方法がなかった。
そんな独学ネイティブの良さについて。
世の中がめまぐるしいスピードで変化していく時代に学校教育がついていけるのか?そして本当に役に立つのか?
型にはまらない「独学」が国全体にとっても必要で、今のような時代に求められるのではないか。
柳川 独学ではすぐ挫折してしまうという悩みをよく聞くが、挫折は悪い事ではない
受験では学んだことをすぐに実現しなければならないが、大人の学びは自分が学びたいことを学べばいい。
独学なら失敗しても恥ずかしくないし、ダメだったら別のことをやればいい。
色々やってみて、失敗して、自分に向いていることをやれば良いのではないか。それで十分な学びになる。
今の世の中は変化が激しい。挫折は悪いことではなくて、大切なのは、挫折してもまた新たな方向へ向かっていくこと。挫折や失敗の数だけ財産になる。
小宮山 Unlearnのススメ。
自分が既に学んできたことをあえて忘れる。執着しないで捨て去って、新しいことを学び始める。
自分が本当にやりたい事や好きな事を考えるチャンスは今までは転職する時くらいしかなかったが、時間がある今ならできる。
私自身は、心理学の勉強やモータースポーツへの参戦を始めたが、仕事とは関係ない分野に飛び込んでみると、また新しい視点やコミュニティが得られる。
「学び」としてやらなければならないと考えるのではなく、自分の好きなモノが何なのかを見極め、集中することが大切。「独学」の「学」を学びだと思わない事がミソ。
山口 ある取材で「勉強して物事が複雑だっていう風に知ると、逆に割を食ったり損したりする」と発言した時に、インタビュア―が「この社会を知る者のノブレス・オブリージュである」と言った。
ノブレス・オブリージュ
=社会から与えられている者には、それに応じて果たすべき社会的責任と義務がある
NewsPicks視聴者は、独学をしようという余裕のある方だと思う。
これからは自分の為の学びというより、社会の為の学び、社会に自分がどう貢献できるかという視点が必要。
奥井 独学は偏った方向に向かうリスクがあるという意見もありますが。
山口 確かに私も独学で家族法・フェミニズムを勉強していて、勉強しすぎると自分だけの世界に行ってしまうことがあるので、アウトプットの機会をつくることでチューニングしている。
柳川 偏っているのではないか?という自己認識が修正につながるので、自己認識があれば大丈夫。
ある程度偏るのはしょうがないので、大人の社会人の学びであれば、ある程度偏って尖るのにも価値がある。
成毛 偏るというのは悪い事ではない。
他の人も偏っていると分かっていればいい。かっこよく言えば、多様性を認めるという事。
自分が偏っていると考えてしまうと、良いものは出てこない。

明日からできる独学勉強法

柳川 忘れる。
逆説的に、忘れられないことだけが自分の中のメッセージになるし、自分の考えが出てくるはず。
最初から覚えようとせず、気になる、もやもやが残っているところを大切にする。
覚えているものだけを大事にするほうが、情報がいくらでも手に入る時代だからこそ大事な学びである。忘れたくても残っているものこそが、自分の血肉になる。
山口 インプットが多すぎるのもだめ。
インプット→アウトプットが大事なので、時間が4分あれば読む、6分あれば書くようにしている。
いいなと思った単語や表現だけ抜き書くだけでもいい。
奥井 インプット→アウトプットに活かす上手なアウトプット方法とは?
成毛 フェイスブックに一日平均で4,000字くらい書き出している。多い時には3つくらい投稿する。全部思い付いたものはアウトプットしている。
結局、書き物というのは、毎日やっているうちにうまくなっていくもの。芸人さんも一緒。
インプットしたものはどんどん書いちゃって、僕の場合、後から編集者がまとめてくれて本になる場合が多い。(最新刊に「2040年の未来予測」)
NewsPicksで「2040 未来からの提言」 配信中。
古坂 全部出せという事ですね。YouTuberもそう。当たったものが当たっただけで、生活から何まで全部出して投稿本数を稼いでいる。
量が質を凌駕することもある。
成毛 何を独学していいか分からないという人は、事典を読め。
今はなんでもググればでるが、キーワードがわかってない。何をググればいいのかわからないのであれば、事典を読め。
あるテーマが見つかれば事典を読めば大体つかめる。教養は事典から学べ。
小宮山 自分の好きなものや関心があるものから始めてみる。それが後々繋がってくる。
その際、最短距離で行こうとせず正解を求めないことがコツ。
一日1時間続けようとするのではなく、一日5〜10分でいい。一日1%やれば、365日1年後には何倍にもなる。小さな一歩を続けることが大事。
独学のモチベーションが維持できない時は、まず体を動かしてみる。そうすると脳がついてくる。
私の場合は週末近所のスタバに行き、そこで読書なり仕事なりを始めてみる。体を動かすと、脳も動いてくる。
成毛 独学の時間はつくるもの。そのためには仕事だって辞めてもいい。

賢者の読書術

成毛 大衆がやってるものは絶対やらない。
ベストセラーなんて、ミリオンセラーになった瞬間、読まない。
みんなが読まない本、やらないことをやるのがこれからはますます重要になってくるのではないか。
柳川 本を読む時は最初からマーカーを引くのはダメ。
本当に大事なポイントを最初の段階で抜き出すのは難しい。
まずはさらっと呼んでみる、線を引くならば、2〜3回目に読むときに引くのがいい。何回読んでも同じ部分で引っかかったり、興味を引かれたりする部分にマーカーを引けばいい。
どんな本でも1回読んだだけでは内容はまずわからないと思っていたほうがいい。
小宮山 あるテーマについて知りたいと思ったら、目次見て良いと思ったものを10冊買ってみる。
私自身は、硬めの本や小説、マンガ等を同時並行してジャグリングしながら読んでいる。
成毛 インプットの際はアウトプットから逆算する。本を読むときは書評を書くことを前提に読む。
その際、批判的なことは書かず、その本がいかに素晴らしくて面白いかというポジティブなことだけを抜き出すことを徹底している。
柳川 本を読むときは、書いてあることや著者を疑ってかかる。
疑ってみるというのは、思考を深めていく上で大事なこと。
山口 「7回読み独学術」のやり方は、3回目まではさらさらと眺めるように読み、6,7回目で自分の中でまとめながら読んでいる。
隙間時間も学んでいる。電車でのちょっとした移動時間があれば本を読んでいる。

完璧を目指さず同時並行でいい

奥井 飽きやすい人、続けられない人はどうすれば?
小宮山 同時並行でいろんなことをやればいい。一つだけにするから飽きてしまう。
種を沢山蒔いておく。水をやりながら芽が見えてきたものに集中する。
成毛 本は10冊同時に読め。
人間の感覚は常に変わるもの。その時々に合う本を同時並行で読んでいく。本+動画でもいい。同時並行は面白い。
独学だと深められないという意見も聞くが、森羅万象を広く浅くやるのが僕の独学。
雑学でも十分独学。
柳川 独学のテーマはそんなに簡単に決められないので、同時並行で進まないものは諦めて、進んだものからやっていく。
最終的に生き残ったものが自分が本当にやりたいことなので。
5つくらい目標を走らせておいて、変わっていってもいいので、その時々にやりたいことがやれるというスタンスでいないと、結局は辛くなってしまう。
三日坊主でも全然よくて、10年やれば30日間の勉強になる。
目標がその都度変わってもいい。そのくらい柔軟に考えた方が最終的に自分が何を実現したいのかが見えてくる。

今回のキングオブコメント

アインシュタインの名言で「大切なのは、疑問を持ち続けることだ。好奇心を失ってはならない」という言葉があるが、かの有名な相対性理論も、この好奇心から生まれた疑問を独学で紐解いてきたことで、人類にとって大切な価値を生み出した。
世間がどうとか、何が流行ってるとか、どんなスキルが必要になるからではなく、自分の興味や疑問をベースに、好きなことをやればいい。
広く浅くで十分。挫折してもいいし、三日坊主でもいい。
独学=すぐに見える成果ではなく、人生のどこかで役立つ事が必ず訪れる、という風に気楽に構えるくらいがちょうどいいのかも知れない。
キャリアを築く上でメリットになるだけでなく、人生に彩を与えてくれる独学。
この議論が少しでも役に立てば幸いだ。
番組視聴はこちら(タップで動画ルームに遷移します)