医療機関向け優遇融資 1兆円超える 一部で厳しい経営続く
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一部の医療機関が、新型コロナウイルスの流行で患者減少の影響を受けることは予想されていました。高血圧や糖尿病など、慢性患者の診療に大きな影響は少ないものの、不要不急の患者さんが病院への通院を避けていました。このような心理的通院意思の冷え込みから、通院頻度の減少で外来軽症患者数が減少したものと思われ、昨年の5月に最大の落ち込みを記録していました。
記事中の融資先内訳として、病院2325件(6016億円)、医科診療所7444件(2668億円)、歯科診療所8657件(2788億円)とのことです(病院とは、20人以上の患者を入院させるための施設)。日本の病院・医科診療所・歯科診療所の合計は約18万施設ですが、このうち病院は8000施設ほどしかありません。融資の利用先として、病院が際立って比率が高いと思われます。この時点での対象先は、もともと経営状態が良くなかったところ、(コロナ禍で)さらに患者数がさらに落ち込み、「緊急融資が必要」となったところが多いと思います。
一方、現時点で、患者数減少の影響を継続して受けていると思われるのが、大都市圏都心のクリニックや歯科医院でしょう。仕事の合間、あるいは、職場から通勤しやすいところに立地しており、大都市ではビルを賃借して開業していることから、「ビル診」と呼ばれています。当該医療機関は、すでに大きい影響を受けていますが、在宅勤務の比率があがることに反比例する形で来院患者数の減少が予想され、今後も厳しい経営環境が続くと思われます。医業収入が2020年度上半期に、最初の緊急事態宣言の影響で大幅に減って、昨夏に回復傾向が見えたものの、冬になって減少幅が再拡大している模様。概算医療費は、2020年度上半期で対前年比5.2%減だった。2020年度下半期も前年よりも減るかもしれない。外来医療では患者による受診控えが主因の一つである。
わが国の医療制度で、出来高払いに依存し過ぎた報酬体系だったところに、受診控えが来て、この様相になっている。これを機会に、診療報酬について出来高払いを包括払い化して、医業モデルの転換を図るべきではないか。医療機関ってこれまで優良先として、融資は簡単に受けられる業種でしたが、固定比率が高く、今後人口減少が続けば、患者も減り、地域医療機関を中心にかなり疲弊します。
また、今後自己負担が2割、3割と増加することとなれば、これまで通院していた方の頻度も減り、どんどん淘汰されるでしょう。
もともと経営自体が苦手な診療所はピンチかと思います。
今回の優遇融資は一時的な応急処置であり今後の対策を真剣に考える必要があります。