2021.03.02

排出権取引制度の現状とビジネスの展望

2050年ネットゼロ目標が不可逆的な世界の潮流となる中、「カーボンプライシング」や「クレジット」といった用語を頻繁に目にするようになった。ただ現状は、国内外で様々な制度が乱立し、各制度の全体像及び議論の方向性を掴み難い。電力や鉄鋼など排出量の多い産業部門では、まずは排出量取引制度(ETS)の制度動向や価格の見通しに留意するなど、事業継続のための取組みが急務である。また、民間主導のボランタリークレジット等を活用して、植林やCO2回収・貯留技術、再エネや省エネ等の様々な低・脱炭素化の取組みを上手くクレジット化し、ビジネスへとつなげることも同時に重要となってくる。クレジットの創出・活用はグリーン化の進展に加え、途上国における地域経済活性化、雇用やレジリエンスの確保等にも貢献するなどSDGsの精神とも合致するものであり、今後更なる取組みが期待される。

執筆者紹介

副主任研究員 岩坂 英美

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