「記者殺害はサウジ皇太子承認」 米が報告書、高官に制裁
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アメリカの諜報機関を統括するONDI(国家情報長官室)は先頃、カショギ氏の殺害に関して、ムハンマド皇太子の指揮下にあるサウジアラビア王室警護隊迅速介入部隊の犯行と断定し、具体的な証拠は示しませんでしたが、諜報活動の結果ムハンマド皇太子の承認を得たものだと判明したとの報告書を発表しました。
これを受けアメリカ財務省は、サウジアラビアの諜報機関、統合情報局元副長官アフマド・アル・アシリ将軍と迅速介入部隊関係者76人に対する財産凍結とビザ発給の停止などの制裁措置を発表しています。
尚、アメリカの制裁にはムハンマド皇太子本人は含まれていません。
アメリカは一応ギリギリのラインをついたように見えますが、サウジの次期国王を人殺しと名指ししたことの影響は大きく、サウジアラビア政府は直ちに、報告を全面拒否するとの声明を出しています。
人道的なことの是非はともかくとして、サウジとしてはトランプ前政権と暗殺実行犯5人の死刑と、イラン制裁への協力、そして何よりイスラエルとアラブ各国との和平の推進と引き換えに、この件を不問にしてもらったという意識があるでしょうから、まさにその取引をひっくり返された気分でしょう。
これまでイスラエルとサウジアラビアとの国交回復は目前と見られていましたが、これで白紙に戻る可能性は否定できません。
少なくともトランプ前政権のイスラエルとサウジアラビアを基軸にした中東政策は大きく後退することは確実で、両国と厳しく対立してきたトルコとイランが相対的に立場を強めていくことが予想されます。
特に錦の御旗を得たトルコのエルドアン大統領がどう出てくるかが、今後の展開に影響を与えそうです。権力が怖いのではなく、国際関係ではそのような常識を持った相手とも対等に交渉ができる能力が少なくとも公人には必要なのだと理解しなければならないと思います。そして、そのような能力を要請できる土壌がなければ育ちません。やはり教育制度は大事です。
また、私たちも3代前くらいまでは権力の命令で実際に腹を切るような事もやっていた事を忘れてはいけないと思います。つまりこの記事のことも全く理解不能ではないという事です。自らの歴史を知り、相手の歴史を知り、どのようなベースで価値判断をするのかを理解しながら国際関係は進めなければなりません。思考停止にならず、また意思力を身につけて(もちろん体力も)世界を渡って参りましょう。トランプ政権の時は公開しないとしていた報告書も政権交代で公開されることとなった。しかし、3ページと限られた内容で、具体的な証拠を示しておらず、やや中途半端な印象。しかし、それでもMbSに責任があることを示した意味は大きい。