大阪府、「都構想」代案の広域行政一元化条例案を議会に提出
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なぜ大阪で都構想や一元化条例が議論されるかというと、大阪市は市外や府外から多くの人が集まる大都市だから。具体的には、大阪市の昼夜間人口比率は政令市の中で断トツに高く、東京都特別区とほぼ同じ。
https://www.sendai-l.jp/wp/wp-content/uploads/2018/08/pdf-chousa-1-2-3-180809.pdf
つまり、大阪市の行政は市民にサービスを提供することはもちろんのこと、仕事や学校、買い物、レジャーなどで来る市外府外の人たちを意識した行政サービスも求められる大都市なんです。しかし、かつての大阪市は後者の視点が不十分だった。
その代表例の一つが記事にも挙げられているなにわ筋線。これはうめきた(大阪駅)となんばを南北に結ぶ路線だけど、これが開通すれば梅田-関空間が時短され、大阪北部や京都、神戸方面から梅田に来た人の利便性向上が期待でき長年開通が待たれていましたがなかなか事業が始まりませんでした。その理由は、大阪市民の立場から見ればこの路線は不要だから。市内には御堂筋線や谷町線、四つ橋線と南北路線が3線もあるので、わざわざ巨額の投資をする必要はないと大阪市は考えていて、長年府と市がもめ続けてきた。いわゆる「府市合わせ」。
このような府市の対立をなくして、府市が一体となって大阪府市全体を発展させるための政策が維新が挙げた都構想だったけど、それは2回否決されたため、一元化条例が代案として提出された。
よく、二重行政の説明で府市が同じハコモノをそれぞれ作ることが無駄だと言われているけど、それは狭義の二重行政の弊害であって、広義のそれは上記のような部分最適が進むことで全体最適が阻害される状態だと考えています。
ちなみに、大阪市は特別自治市を目指すべきとの主張を見かけますが、上述のような背景があるので大阪市には全く適さないと思います(そんなことしたら、大阪市がますます我がことしか考えなくなり、市外府外から来る人たちが不便を強いられる)。むしろ、昼夜間人口比率の低い(乱暴に書くと、外部から人が来ない)横浜市のような政令市には向いている仕組みかもしれない。