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私は腸内細菌の研究を20年以上続けており、同時にバイオベンチャー企業を経営して6年になります。科学的思考がビジネスに役立つこともあれば、ビジネスで学んだことが研究で役立つこともありますので、双方向に重要だと思います。また科学とビジネスには共通項も多く、例えばどちらも最初の一歩はcuriosity-drivenであったり、成功の裏側にはどちらもチームや仲間が重要であったり。
「アマチュアの心で、プロの仕事をする」もとても重要なことで、まさにcuriosity-drivenであるための心構えであり、かつプロとして形にする責任を持つということだと思います。
もう一つの科学の特徴は、大きい小さい、多い少ないではなく、その差分を説明するという特徴です。これはニュートンが始めたことです。そのために微分が発明されました。多様な現実を認めつつ、その中に普遍的な法則性を捉えることができるからです。
コロナの発表で、500人以上とか以下とか多いか少ないかを問題にしているのは、現代では科学的な見方ではありません。変化を捉えている実効再生産数はその意味でもっと科学的です。
>引用
『学問や研究も、今は何かにつけて「役に立つ」ことが求められますが、多くの研究、特に基礎研究はすぐに役に立つものではありません。しかし、役に立つということについて考えるのならば、個々の研究以前に「科学的思考」そのもの――科学的なものの考え方が、いかに役に立つものか、大事であるかということに、もっと目を向けてほしいと思うのです。「科学者としてのプロの仕事は、研究以外のあらゆる分野に生かすことができる」という事実が、このことをとてもよく表しています。科学と社会の関わり方が、「研究がすぐに役に立つか、立たないか」「自分たちの味方か、気にくわないことを言っているか」という視点でしか語られないのは、本当にもったいない。科学的思考は、ビジネスにおいても、教育においても、基本となるものなのです。』
「科学的にものを考える」というのはとても大切だと感じます。今のコロナ禍の中で、何を根拠に生きていくか。判断していくか。
感情だけで判断するなら他の動物と同じわけで、人間に与えられた科学という知識を活かさない手はない。というか、他にないのではないかと思います。
原発事故やコロナ禍への対応で、感情的だったり煽動的な言動が目立ち、悲しくなります。危機であればあるほど、出来るだけ科学に基づいて冷静に判断できる世の中に欲しいな、と痛切に思います。
「知りたいという気持ちから科学は発展していき、科学者たちの残した成果から、僕たちの身の回りにあるパソコンやスマートフォン、医療、乗り物などに使われる技術が生まれてきました。」
ただ、どれだけ実験を積み重ねても、例外の可能性はゼロになりません。
その意味では、科学者は答えを求め続ける存在であり、答えを知っている人間ではないのだと思います。
一番科学から遠い態度は、実は、専門家のいうことだから、と鵜呑みにしたり、検証せずに信じることでしょう。
とはいえ、、
普段、教科書を使って絶対的な真理のように授業をしていると、そうしたことは、すぐに忘れてしまいがちなのですが。。。
先日大学生の相談を受けたら、こんな話をしていた。
大事なことは研究結果ではなく、短い間にしか関われないけど、その中で、どういう未来を描いて、その未来の実現に向けてどう動いたか。そして間違いがあった場合は、どう修正して実行したか。
考え抜くことが一番大事ですよね。そういう意味で「科学的」は武器になりますよね。しかし、忘れてはいけないのは「情」。なにごとも情と理のバランスですね。
「科学を振りかざしてこれが真実だと言われても」
双葉病院に関するデマ拡散で非難轟々の朝日新聞
https://togetter.com/li/1670741