電通を「過去最大赤字」に追い込んだ元凶の正体
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立場上個別ディールのコメントは控えたい、というのは以前の話で、中小企業のおっさんとなった今はあまり関係ないのですが、一応一つの思考実験というお断りをした上でコメントすると、そもそも世界5位の電通が選ぶべき戦略は”買収”だったのだろうかという気がしてなりません。
日本企業は買うことは大好きな割に、売ることには非常に大きな嫌悪感を抱くケースが多いのですが、仮にイージス他を買収するのではなく、WPP、オムニコム、ピュブリシス、インターパブリックのいわゆるBIG4の傘下になっていたらどうでしょうか?
WPPと一緒になればオムニコムの猛追をかわして圧倒的世界NO1企業となりますし、オムニコムと組めばWPPを上回って世界一となります。
BIG4はどこも日本市場ではあまり存在感がないので、世界5位とはいえ、相当のプレミアムがついたはずです。
間違いなく世界の広告業界を変えるビックディールとなっていたでしょう(あるいは今でも)。
今や世界の広告業界は、BIG4対新興ネット広告企業の争いを呈していることを考えれば、既存のメディアエージェントを買収して世界第5位の座を確保するのではなく、もっとグローバルな戦略に立ってNO1を狙った方が株主や従業員にとっても良かったのではないか、という仮説も成り立ちます。
硬直したM&A戦略は企業価値を棄損し、未来を俯瞰したダイナミックなM&A戦略は、グローバル競走での勝者の道というのが、クロスボーダーM&Aの本質であるような気がします。デジタルにシフトは必須だが、この領域は電通が不得意な分野だ。マスメディアの強みが生かせないとなると対クライアントで強みを出せるか?電通の対クライアントの強みは、売りにつながる現場感覚をしっかり持った営業を中心とした、有機的で機動的なプロジェクト体制にあったと思うが、契約社員の多用などもあってその強みもかなり薄れていると感じる。デジタルシフトは大事なんだけれど、アクセンチュアなどのコンサルとは異なる電通の強みを維持しつつシフトできるのか?何か経営陣の話が外形的に見えてザワザワする...
2020年度の電通の通期決算説明会の資料をベースに
「電通決算から見る『変化』への本気度」という記事を読みました。
伏線として頭に入れると、この記事が読みやすいです。
https://newspicks.com/news/5619308?ref=search&ref_q=%E9%9B%BB%E9%80%9A&ref_t=top
電通を「過去最大赤字」に追い込んだ元凶の正体に関する本記事の要点は、おおよそ以下の通り
1)テレビ広告が大きな減収
国内でも売上高の3分の1を占めるテレビ広告が前期比12%減なのに対し、ネット広告は同1.4%減だった。(デジタルマーケティングを中心とした「カスタマーエクスペリエンスマネジメント」部門は同3.2%減にとどまる。)
2)買収した旧来型の代理店の稼ぐ力の減損
特に、2013年に買収したイージスは、ヨーロッパ・中東・アフリカ(EMEA)という地域ごとに稼ぐ力での損失が膨らんでいるため評価が低い。
3)最大の課題は「高コスト体質」
2015年末の社員の過労による自殺を受け、働き方改革を急速に進めてきたが、そのため、外注費が膨れた。又、海外のように容易に人員削減ができないこともひびいた。
記事でも、2010年代前半には多かった、メディアの枠を売り買いするビジネスから、GAFAの台頭によって、広告代理店の力を借りることなく、ネット通販の発達で企業と消費者がつながる場面が激増した、モノやコトの売買のコンテクストそのものの変化が挙げられています。
その流れを受けて、電通Gも、2016年に米データマーケティング会社・マークルを買収するなど、広告主が持つ消費者の氏名やメールアドレスを含むIDデータを活用し、ターゲットを明確化させた上で、売買が促進させるなど、マスメディアが謳歌してきた既得権益からの脱却に本腰を入れ始めているようです。
youtubeを見ると、本当に広告が邪魔で、もともと不快なファクターを入れておきながら、それを解除することで課金させるシステムには大きな疑問を感じます。デジタル変換に大きく舵をとった現在、外注ではなく、共助によってシステムを活性化させる自発的なファンコミュニティに、精鋭集団がどれだけ肉薄できるのか、時代がそれを検証するのかも、とも思います。