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PW4000について以下を見つけました.引用します.
杉岡進 : "21世紀初頭の民間航空機用ガスタービンエンジン", ターボ機械 24 (1), pp.26-30, 1996.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tsj1973/24/1/24_1_26/_pdf
2-1 ホローファンブレード
大推力を得るためバイパス比を大きくとるが、そのため大きな径のファンが必要となる。ところが大きなファンはエンジンの重量が増加する可能性がある。PW4074エンジンでは直径112インチ(2.84メートル)のチタニウム製ファンブレードが使用されているが従来の無垢のブレードと異なり、2枚のチタニウムを拡散接合で張り合わせた中空構造にして強度を持ちつつ約50%の軽量化が計られている。
【追記】FAAも点検せよといっているhollow fan blade(中空ファンブレード)について,同僚,先輩先生に教えてもらいました.
Pratt&Whitney特有の製法ではない.上の解説論文にも簡単に説明されているように,背側スキンと腹側スキンを拡散接合して製造する.A320などに搭載されるV2500エンジン(国際的合弁事業インターナショナル・エアロ・エンジンズ製造)や,B747に搭載されたロールス・ロイスのRB211エンジンなどでも用いられている.この拡散接合は平面同士だとそれほど難しくないが,ファンブレードはスパン方向にねじれているので背側面と腹側面は平面ではない.そこで,ロールスロイスでは腹・背・中子の3枚の平板を接合してからねじるそう.中子には切れ目が入っていて,かつマスクを使って部分的に接合するので.捻ることで中子が立ち上がり,ちょうど背・腹の面と直交するようになるそうです.面白いです.
一方,最新のエンジンでは,ファンがCFRP製のものが増えています.
細かいウンチクでした.
https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=G7-zh7Sebr8&feature=youtu.be
事故機は、Maydayコール後、すぐに落ち着きを取り戻し、管制支持に従って左旋回していき、空港を大きく回り込む形で別な滑走路へ緊急着陸しています。
問題は、初飛行から20年以上が経過し、ファンブレードについても経年劣化が進んでいることです。ファンブレードの中空構造の部分には冷却のため空気が流されますが、この空気が当たり続けるような場所に圧力がかかり、金属疲労によりもろくなってきます。これは日常の整備作業では見つけられないものなので、特定の稼働時間ごとにメーカーに返送されてオーバーホールをうけてから戻されるような体制になっています。2018年のトラブルの際に、オーバーホールで見つけられなかった原因に対して製造メーカーであるPW社で対策を取ったとされていたのですが、結果的にこの対策が漏れていたのか、不十分であった可能性が極めて高くなってきました。
そもそもPW社は、同じエンジンで排気側にあるタービンブレードについても製造段階でのミスにより腐食問題を経験しており、タービンとファンの違いはありますが再び似たようなトラブルに見舞われているということになります。小型機用エンジンで起死回生を図る同社にとっては、またしても頭の痛い問題になるかもしれません。
オランダで起きたB747型機の同系列エンジンの部品落下では、けが人も出ています。トラブルの連鎖が心配です。