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株式を保有することでオーナーになる長期投資においても、保有するビジネスの歪みの大きさと持続性に着目することが重要です。
これは決してMBAの教科書に書いてあることではなく、日々の生活の中で好奇心を持って「なぜこのビジネスは儲かるのか」を仮説を持って考えることで気付くものだと考えます。
所詮仮説なので正解はありません。でも「あぁ、そういうことか」と気付く瞬間は面白いですよ。
長期株式投資の専門家である奥野さんによる投資塾で学んでいます。
前回の「INVESTORS」実践編でプレゼンした、コストコは、
「逆」レーザー&ブレードモデルだ、というご指摘をいただいたことから、
きちんと投資価値のあるレーザー&ブレードモデルの理解を深めるために、
今回は永続的に儲かるモノづくり×サービスを深堀りしました。
単にレーザー&ブレードモデルだから投資価値があるのではなく、
レーザー&ブレードモデルをはじめとしたビジネスモデル内で
価値の非対称性が起こっているかどうかといったところに着眼点をあてなければいけません。
今回はシスメックスやオーチスといった企業を例に、
このビジネスモデルがどのようにして安定性を維持し、参入障壁を築くかを学びました。
これからは「モノ」を売って終わりではなく、
そこからどうサービス化に繋げられるかがビジネスの鍵となるでしょう。
キヤノンなどの事務機、特にコピー機は2000年代半ばまでは大成功していた。印刷するときに機械が壊れていれば困るため、機械の耐久性やメンテナンス網が重要で、かつOA化と人々の印刷物への慣れ、カラー化で今より数倍の利益だった。その時点ではレーザー&ブレードモデルは成立していたが、印刷ニーズの低下などで、生産設備と人件費含めたメンテ網の固定費を賄えなくなっているのが現状。
時代・環境の変化で、記事の言葉を使えばコストと価値の非対称性が変わり、長年かけて構築してきた事業構造やその強みの源泉が逆回転し負担になっている(個別企業というより業界全体)。
イノベーションのジレンマという言葉があるが、コストと価値の非対称性のダイナミックな変化ともいえる。
先行企業はすでにブランド力があり、それを維持することが最優先。一方、コストと価値の非対称性がコスト側で広がりすぎると、ホワイトスペースが生まれる。そこに少し品質は劣るが安いものが出てくると、一気に伸びる。そして伸びる過程で品質は改善される。特にそのコスト構造が新しい技術などによる場合は、レガシーコストもなく、新規領域への知見で先行でき、安いから市場も成長し、シェア逆転につながることもある。
特に市場単位で期待品質は異なるため、品質要求が低く低コストで提供できる新興国メーカーが育つパターンが多い。ただ、医薬品のように規制が関わると、最低品質要求が高くなり、一般論として参入しにくくなる。
ROA(や資産回転率)については、単純だが、資産が必要な事業なのかという観点で色々な示唆がある。利益が出ていればROAは上がる。一方で、資産が必要な事業(例えば製造業やインフラ)はROAは低くなりがちだし、いらない事業(例えば人材派遣)は高くなりがち。
でも資産が必要というのは、参入に一定の資金力・腹括りが必要でいうこと。なので、競争が激化しにくいこともある。現実はこんなに単純ではないが、儲かっているところは皆参入したがるし、そのなかでどうやってそもそも参入させないか、参入しても負けないか。同業のなかで資産回転率やROAの高低は、ビジネスモデルや競争力の違いを把握する一丁目一番地。
こういう解像度が上がっていくのはとても面白いし、定性・定量組み合わせた総合格闘技!
倫理的に、又はSDGs的に素晴らしいな、と思えるプロダクトやサービスにも応用できるのでしょうか。