春闘、自動車で労使交渉スタート 各社組合、軒並み要求引き下げ
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手元の過去2年間の資料と今回の共同通信社の速報から、乗用車メーカー(8社)の一時金妥結状況をまとめると以下の状況です。日産は「5年ぶりの要求額引き下げ」と書かれていますが実際は昨年も引き下げられており、ホンダはベア(=ベースアップ、一律全体が同率に給料を増加させるタイプの給与法の書き換えに相当)については見送ると書かれていますが、実際は今年もそれ以外の賃上げ要求は行うことの裏返しとなります。ヒアリング結果が「低めの要求」なのは、世間情勢に配慮したとのことだと思います。報道のデータソースは、電話等の口頭で簡単にヒアリングした精度のものと思われ、続報により精度が上がると思います。
春闘のような一律に給与アップを求める慣習は、「終身雇用」「年功序列」が前提になっているという性格上、米国では一部の伝統的産業の大企業以外では行われていません。労働交渉を組織的に行う企業については、「やるときにやる」、「やるとなったら、徹底的にやる」という方式をとっていますが、こういった企業の業績は、そうでない同規模の企業に対しておよそ劣位にあります。また、日本では「労働組合の活躍」が社員の給与に大きく関係している「貢献」は否定できませんが、「能力ベース」で相応な対価が払われる社会認識が確立している場合は意味を持ちません。日本では、一部の企業を除き、「労働組合の活躍」はまだまだ必要な印象をもちます。
企業名, 「2021年要求」, 20年妥結(要求),19年妥結(要求) の順(「-」は今回のニュースではわからない部分)
(1)トヨタ, 「5.9か月」, 6.5か月(満額), 6.7か月(満額)
(2)日産, 「7000円=4.5か月程度か?」, 5.4か月(満額), 5.7か月(満額)
(3)ホンダ, 「ベア要求見送り=昨年より1か月程度減か?」, 5.95か月(6.0), 6.3か月(満額)
(4)スズキ, 「-」, 5.5か月+3万円(5.8), 5.9か月(6.1)
(5)マツダ, 「-」, 4.8か月+6万円(5.0), 5.2か月(満額)
(6)スバル, 「-」, 5.6か月(5.8), 5.6か月(満額)
(7)三菱自, 「-」, 5.2か月(5.5), 5.7か月(満額)
(8)ダイハツ, 「-」, 5.7か月(5.8), 5.7か月(満額)