日銀点検を読む:重用される付利、「影の金融政策」に=佐々木明治学院大教授
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注目のコメント
大変驚きました。大学の経済学部長を務めるような方でもまだ「貸出をすると当座預金が減る」という理解をしている方がいらっしゃるのですね。マイナス金利導入に伴いそういった誤解は(少なくとも専門家の間では)かなり撲滅されたものかと思っておりました。
当座預金は民間銀行部門と中央銀行(金融政策)を繋ぐ口座であって、民間の経済活動(ここでは貸出としましょう)で変動するものではありません。ゆえに、民間銀行が民間企業に行う貸出の原資ではありません。なので、貸出の増減如何で当座預金の水準が大きく振れることは「絶対に」ありません。「マイナス金利付利はそれによって当預を持てなくして貸出させるための政策」という理解は100%誤りです。政策に関する思想信条とは別問題に事実認識として間違い、ということです。
このコラムでは銀行Aが企業Bに1億円貸し出したとき、銀行Aの当予水準が1億円減ると理解されているようです。そうでなければコラム中の「0.1%だったら置いておいても意味がないとしてある限界点を過ぎたら(資金が)突然引き出される可能性もある」という表現は出てこないでしょう。しかし、引き出さないのです。銀行の意思で、当座預金は。銀行Aが企業Bに1億円貸し出した場合、銀行Aには1億円の貸出債権が増え、その相対で(企業Bの)預金が1億円増えます。当座預金は無関係です。
これらは信用創造の仕組みを根本から理解していない人に一番ありがちな事実誤認であり、一般的にはよくある誤解です。が、仮にも経済学部の長をやっておられるのであれば、早めに誤りをチェックした上で、修正加筆した方が良いのではないかと察します。もし取材者との齟齬によるものであれば、それもまた指摘した方が良いでしょう。他人のコメントに極力ものを言わないように心がけてはいますが、NewsPicksのプロの方ですから、学者の使命感からちょっと見過ごせないので書きます。
私が言いたいことは唐鎌さんが言っていることは間違ってはいないが、この記事から読み取れることで
「「貸出をすると当座預金が減る」という理解をしている」
「このコラムでは銀行Aが企業Bに1億円貸し出したとき、銀行Aの当予水準が1億円減ると理解されている」
かどうかは分からないということだけです。そのあと
「そうでなければコラム中の「0.1%だったら置いておいても意味がないとしてある限界点を過ぎたら(資金が)突然引き出される可能性もある」という表現は出てこないでしょう」
とコメントされていますが、コラムの内容から彼のコメントにある準備預金と預金のことを言っているとは限らないからです。
要点は、準備預金は金融機関が(金融機関同士の)決済に使用するものであり、準備預金の付利が0.1%の時、他の債券やある運用先の金利収益が0.1%より十分高くなれば、その資金運用を選択するために準備預金で支払いをする可能性は当然あるということです。ポートフォリオのリバランスと考えてもよいでしょう。また、それが金融政策の主要な波及ルートの一つなのです。
従って、修正の必要は認めません。
ただし、支払われた準備預金はたいていどこかの金融機関が受け取るので、経済全体では準備預金量が減ることにはなりません。