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Apple社は、この新開発ディスプレイを使った何らかのウェアラブルタイプの新製品開発を目指していることが読み取れることや、多数のユーザーを囲い込み企画力に優れるAppleと高い技術力をもつ半導体世界最大手のTSMCが共同開発を進めているとの報道に対し、ライバル企業やその製造受託企業など、多方面が関心を寄せているのではないかと思います。
文脈としては①に台湾工業技術研究院(ITRI、日本で言うところの産総研みたいなものか?)の方への電子デバイス産業新聞のインタビューがある。TSMCだけでなくこういう文脈があるだろうか?また記事にマイクロLEDという言葉が出ているが、Appleが採用を検討というしているという報道が2018年にあった(②)。
ただ、どれだけ現実的なのだろう?というのはガラス基板ではなくシリコンなどのウエハ基板は、今最大のものが直径300ミリの円。液晶のガラス基板は、テレビ用の大型だとシャープG10堺は約3m x 3m、液晶などの中小型だとG6が最大くらいかと思うが約1.5m x 1.8m。面積が全然違う。
それが1インチ以下のサイズという背景になるが、スマホサイズはおろか、Apple Watchサイズでもコスト的に相当厳しいと思う。
450mmウエハは10年以上前からずっと議論にはでるが、半導体メーカーでさえその稼働を埋めることや歩留まりなどのバランスから構想レベルのまま止まっていて、むしろ先伸びすることで「いつかどこかの未来でそのうちくるかもね?」くらいな状態だと思う。
①https://newspicks.com/news/2572019
②https://newspicks.com/news/2896801
https://asia.nikkei.com/Business/Technology/Apple-partners-with-TSMC-to-develop-ultra-advanced-displays
シリコン基板上のディスプレイは過去はLCOS技術があり、今でもkopinやemagin、ソニー、エプソンなど供給中。EVF向けやらスコープ向けで非常に高い解像度が要求されつつ、視点から画面の距離が極端に短い用途でこうしたディスプレイが必要。
普通の液晶パネルや有機ELでは解像度は400-1000ppiが限界だが、複数のレンズなどで拡大した場合には画素が見えることがVR界隈では問題視されてきた。(いくらretinaと言ってもレンズなどで拡大すれば、画素は見えます。)画素見えは没入感を大きく阻害する要因。
複数のレンズを使い像を拡大しつつ画素見えを防ぐためには3000-4000ppiに到達できる必要があり、前工程のマスクの枚数の律速からガラスベースやPIベースではマスクは10数層が限界。シリコンベースならばもっと層を重ねることで高画素化が実現できる。つまり、殆ど半導体の世界。
このシリコンディスプレイとOLED素子を掛け合わせることで、高解像度かつ高い動画応答速度/色再現性を実現し、VR機器などに展開されていくことがここ数年、期待されている。TSMCに「前工程のみ」委託するのはTSMCは世界一のファウンドリとしてシリコンの扱いに長けているわけなので、驚きはない。TSMCには画素の色作り、絵作りの力は無いだろうからディスプレイメーカーが勿論関与するだろう。
スマホサイズやウォッチサイズへの展開はあまり考えられていないだろう。あくまで、目元でかなり目に近いところで見るディスプレイで必要とされる高画素ディスプレイ技術という理解。
業界で今後数年で主流になりスマホを置き換えると考えられているのはARとVRの掛け合わせであるMRないしはXRと言われている。
また、シリコンOLEDとマイクロOLEDというのはほぼ同じものを指していると考えて良い。
記事には言及があるが、マイクロLEDは全く違う素性のディスプレイなので、ややこしい。
AppleのHMDにソニーセミコンダクタ製が採用との報道もあったけど、Appleは自社設計も並行するのかな。いつものAppleという気もします。
『Sony Japan | テクノロジー | About | R&Dセンター | 技術ポートフォリオ | Display & Expression -』
https://www.sony.co.jp/SonyInfo/technology/about/rdc/tech-portfolio/display-expression/
『マイクロディスプレイ/OLEDマイクロディスプレイ|製品情報|ソニーセミコンダクタソリューションズグループ -』
https://www.sony-semicon.co.jp/products/microdisplay/oled/