ソニー銀行が“すべてのAWSサービス”を使うワケ、「クラウドフル活用」の内実
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貴重な取り組みと思いました。
「フィンテック」に象徴される金融イノベーションの時代にますます大きな障害になるのは「ロックイン」の問題(例:勘定系と他システムが「密結合」されてしまっており、勘定系やハードの更改時期を待たないと他の戦略的な投資も難しくなる等)です。また、現在の開発環境の中で汎用性の高いプログラミング言語を用いないと、インフラの発展性に制約が生じるという問題もあります。
とりわけ日本では、将来に向けた戦略的投資よりも既存のインフラの維持管理に多くの支出が費やされているという統計もあります。イノベーションのスピードが加速する中でのインフラの柔軟性・弾力性の重要性を踏まえ、この問題に積極的に取り組まれている姿を、興味深く拝読しました。
あとは、FSB(金融制度理事会)などが指摘されているように、世界的にクラウドサービスの提供者が比較的少数の巨大プレイヤー(AWS、MS、Google、Alibaba等)に占められつつありますので、これらの間での競争的環境をどう確保し続けていくか。これは今後、国際的な協力のもとで考えていくべき論点と思います。旧来型銀行のシステムは頑健性・安全性の名のもと重厚長大なものとなり、その結果としてコスト負担、システム部門の特異性による経営陣による認識不足などの問題を生じてきました。
AWSであれGCSであれ勘定系を含めての移行は時代の要請です。
ただし、ソニー銀行が指摘するようにベンダーへのアセスメントが何より重要で、アセスメント能力がシステム運営上の新たな付加価値となるでしょう。オンプレのサーバーをパブリッククラウドに移すだけの、なんちゃってクラウド活用が多い中、「独自技術」から「オープン技術」、「密結合」から「疎結合」と、ガチで取り組んでいる感じが見受けられますね。