【3分解説】旧村上ファンド系vs米巨大ファンド、仁義なき買収戦
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日本アジアグループの山下社長&取締役としては、上場企業として禁じ手を打ってしまいました。
教科書的に言うと、上場企業の経営陣は株主価値の最大化を図らないといけないので、MBOでは既存株主に最大限報いる(株主価値に見合ったTOB価格で買い取る)必要があります。
とはいえ、経営陣も人間なので、MBOとなれば自分の懐を痛めて自社株を買うわけですから、できるだけ安く買いたいと思うに決まっています。
そこで、コーポレートガバナンス・コードでも「社外取締役がきっちり見なさいよ」とうたっているわけです。
去年の11月に同社経営陣が「1株で600円で譲ってください」とTOBを公表したということは、建前としては「当社の株主価値を最大化すると1株600円になります」というメッセージになります。
ところが、600円を上回るTOB価格での横槍が入ったからといって、いとも簡単に「ほんじゃ、1,200円に上げます」と対抗するのであれば、600円は既存株主に払える最大金額ですというメッセージはウソだった。
もっと言えば、ホントは1,200円なんだけど、やっぱり安く買いたかっただけなんだ、という人間の本性を現しちゃったともなるわけです。
これ、ほんとはマズイんですよね。でも、こんなふうにファイナンスの出来事もヒューマンドラマが見えるようで興味深いものです。当初昨年11/5に会社側が賛同表明、応募推奨してたことが、微妙ですね。本件を追ってるわけではないので全く細かく見てないですが、利益を得る山下会長CEOが取締役会の決議に参加してたとするとさらに微妙です。どうなんでしょう。
カーライルからすると安く買えた方が良いわけですから、会社側というか経営陣側の善管注意義務違反が問題になります。カーライルの初期提案が520円でしばらく交渉した経緯があり、その後600円に引き上げているので、そこが論拠ではありますが、あまりにもその後の引き上げ価格1200円との乖離が大きく、できレースであったとツッコミを入れる余地を残してしまっています。
いずれにせよ、市場のチェック機能が働いている結果なので、個人的には行く末を見守りたいと思います。「長年やってきたが、稀に見る奇妙なディールだ」(旧村上系投資会社シティインデックスの福島代表)
シティインデックスvs米カーライルの日本アジアグループ争奪戦が加熱して同社の株価は2カ月で4倍になりました。
あまり聞き慣れない企業のニュースですが、今回のような「敵対的買収」のターゲットになる上場企業は年々増えています。
また、株主の利益を要求がより尊重される世の中になるなかで、旧村上系投資会社の動きは活発になっています。また、その結果、MBOなどで上場をやめようという動きもいずれ増えるかもしれません。
株式市場やM&Aの仕組みを掴むためには知っておきたい、買収合戦の様子を解説します。