【安永雄彦】JR東日本へ“左遷”、消費者金融「モビット」設立
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安永氏の第四回目も実に面白いエピソードで一杯。特に興味深いのは最新の金融を大学院で学んで帰国したらあまりに日本のシステム・やり方が古くてガンガン指摘をしたら左遷にあったという下り。当時の銀行で出向(=左遷)にあったら出世コースから外れて意気消沈しそうなものだが、安永氏は出向先での仕事を楽しんで結果をだして戻ってくる。周囲の人に恵まれたと安永氏は書いているが、これこそが英国留学で身に着けた「転機を受け入れる資質」のおかげだろう。リンダグラットンの「ライフシフト」でいえば「変身資産」で、新しい環境に対応してキャリアを豊かにする能力だ。
この能力があれば新しい環境にどんどん変わってもそれを糧にして自分のスキルを増やし、キャリアの幅を増やし続けることができる。最初の一歩目は厳しいかもしれないが、若いうちにこうした能力(昨日も書いたがプランドハップんスタンスの5つの能力、好奇心・持続性・柔軟性・楽観性・冒険心)を持っておくとどんどん新天地を自分の見方にできる。人生長いのだか早く身につければつけるほど得なのは英語や運転免許と同じ。是非、変身資産を身に着けていくことをお勧めする。
あと、後半のプロミスと三和銀行でモビットを作った時の話も興味深い。こちらはプロミスの担当者が会社の中を全て見せてくれたという点。これは自分達のオペレーションに相当の自信があって、かつ絶対に真似できないと思っているからできる芸当。こういうことができる企業体は強い。UBSを卒業する前の半年間くらいは金融法人を担当していたので消費者金融業界もカバレッジしていました。なので、消費者金融業界のスゴイところもわかっているつもりです。
ハッキリ言って「上場企業勤務だから住宅ローンは年収の何倍までOK」という思考が停止したような審査基準しか持っていない銀行と違って真剣さが違います。
私が担当していた当時はまだ大手消費者金融には創業オーナーが残っていたので直接興味深いお話しを聞いてよく驚いていたものです。
彼らが起業しときにはまさに自分の懐の財布から大切なお金を貸し出すので「このお金が本当に返ってくるのかどうか」を見抜く洞察力・研ぎ澄まされた感覚が並大抵ではありません。
オーナーが言うには、お客がお店に入ってきたその瞬間にもう「この人は返済できるorできない」がわかるんだそうです。
そういう暗黙知を形式知にし、データで見える化して・・・という変遷を経て上場しました。プライドばかり高いサラリーマン組織の銀行には到底及ばない境地です。