名目金利、必要なら「下げていく政策操作も」=若田部日銀副総裁
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日本に限らず先進国の長期的な低インフレにおいては、先日の会見でパウエル議長が整理したような、イノベーションやグローバリゼーションといった構造要因だけでなく、周期的に生ずる金融危機と資産価格の不安定化が大きな影響を与えているように見えます。その点で、記事が引用した若田部副総裁の見解は幅広く支持されると思います。
従って、もしも中央銀行に求められる政策対応を最小限に限定するとすれば、構造要因と正面から対決することよりも、金融危機の頻度をできるだけ抑制することにあるようにも思います。「若田部副総裁は「現代の金融政策の基礎に当たるのは名目金利ではなく実質金利を動かすこと。日銀の現在の政策の枠組みの基礎でもある」と述べた。先行き実質金利が非常に急騰することが起きないように政策運営するべきで、YCCあるいは予想インフレ率にどう働き掛けるかが重要だと語った」
YCCと予想インフレに働きかけるという二つは別物で、リフレ派の主張は後者。どう働きかけるも何も、リフレ派は物価目標と量的緩和でできると言ってできなかった。
「この枠組みを前提とすれば、2%の物価安定目標の達成を目指すというコミットメントが重要だとし、そのコミットメントがある中で、名目金利に関しては、状況次第では「それを下げていくという政策操作が必要になってくる」と述べた」
達成できなければコミットメントなど意味はない。リフレ派の政策は破綻しているが、リフレ派の委員だけは増えているのは、彼らが政権擁護的だからなのか?それでは新しい金融政策の転換は期待できないだろう。若田部副総裁が目指す理念は正しい。
しかし現場が実行している日銀の政策は異なる。
1月と2月で国債の買いオペを10.2兆円も減額した。
ステルステーパーは過去にもずっと行ってきたが、今回は速度が速い。
短国に関しては残高を昨年8月末の57兆円から1月末には38兆円まで減らした。
これも過去に行ってきたことと同じ。
しかし短国の発行残高は昨年春以降、急激に増加。
こうした政策は国内余剰資金と外国資金を市中の短国と国債に集中させる。
円高株安を引き起こしやすい。
2%物価目標の実現をも阻害。
足元は円安株高が進行。
しかし日銀が政策を変えなければ、今以上の円安株高が進行していたはず。
物価や資産価格の上昇以上に出口戦略優先と考えざるをえない。
もっとも株に関しては出口が非常に困難なETFを買い続けた。
政策全体が持続性のない矛盾した体系の形で実行されてきた。