ユニクロ率いる柳井正氏「地球は今の世代で終わってしまうかも」。サステナビリティ戦略を発表
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柳井さんの発言に大きな非連続性を感じる。
どのタイミングで、いったい何が一番の理由で変わったのか。
ちょっと前までは
■本業に力をいれることが本分でCSRなどに割く時間はない
■先進国が豊かになったあとで、このままだと地球がよくないから発展途上国はがまんしろ、ということなど傲慢
などと言っていた。
つまり、単なるトレンドとしての持続可能性のようなキーワードでこの人は動いたわけではない。
恐らく、一番大きな判断理由は
■持続可能なアパレル産業のあり方を作っていくのが、『服を変え、常識を変え、世界を変えていく』ファーストリテイリングじゃないのか?
という問いとその投げ掛けがどこかであったのだろうと推察する。
当然、
■ベーシックカジュアルのユニクロは翌年も着れる
■品質重視のユニクロは持続可能性と親和性が高い
■この先持続可能性というキーワード抜きでは企業は選ばれない社会になりつつある
ため、その傾向が進めば進むだけ、ユニクロはファッション業界で優位にたてる、すなわち競合戦略としても持続可能性を対外アピールすることが自社にとっても長期的にプラスになる
という判断があったのだろう。
『ファッションとは見た目ではなく、内面であり、生き方である』というアパレル業界らしからぬ柳井さんの信念も後押ししたに違いない。
自身の信ずるところに、持続可能性という言葉が合致する概念として腹落ちしてきた、ということか。
ブレナイ生き様だ。
注目のコメント
生物多様性も気候変動も、すでに地球の臨界点を超えている。これはプラネタリー・バウンダリーの概念が提唱されるより以前から指摘されてきたことです。
もはやパリ協定を遵守したところで気候変動が止まるわけでもなく、
生物多様性条約のもとで様々な国際交渉がなされたところで、生態系の危機は深刻さを増すばかりです。
それにもかかわらず、日本では未だに「環境問題は公の問題だから、まずは政府・行政がなんとかすべき」と振舞う向きが、企業にも市民にも強くみられます。
そうした中、日本のファッション業界のリーダーが強い意志を示してくださることは、心強いです。
ただ、最新のサステナビリティレポートを拝見しても、今ひとつ、どこを大転換されるのかがよくわかりませんでした。
ファストファッションという最大の環境負荷産業の立役者として、今後いかに革新に試みられるのか。具体的な取組に注目しています。業界トップを目指すファーストリテイリングとしては、サステナビリティへの配慮は無視できない、と言えるでしょう。
サステナブルを謳うアパレルメーカーでも、リサイクル材の活用や使用済み製品の販売リサイクルには積極的に取り組んでいるものの、大量販売・大量消費スタイルへのテコ入れ、ライフサイクルの長期化までは踏み込めるところはなかなかありません。業界の中での影響力のあるファーストリテイリングがこの部分に触れたというところは大きいと思います。
ユニクロは昔は「安かろう悪かろう」のイメージがありましたが、今は「良い品質の末永く使えるスタンダードな商品を比較的安価に」というイメージに変化しました。サステナブルファッションと親和性は高そうです。年間13億点の服を製造・販売するファストリのトップが、
「使い捨ての服ではなく、長く着ていただける、シンプルかつ高品質な日常生活のための服をつくり続けたい」
「一番大事なことは、自分の気に入った服を長く愛用するということ。今年買った服が去年、2年前に買った服に合うことなんじゃないか」
と言及することは、ファストファッションの「大量生産、大量販売(安価で)、大量消費(=高頻度での購入)」というビジネスのあり方を根本から変えていこうという姿勢だと思いたいです。
企業の製造・販売だけでなく、ユニクロやGUのターゲット顧客側の意識を変えていくことも必要になりそうです。そこへの大胆な策が何らかあるのか…という点が気になります。