旧三洋の白物家電再建、プロ経営者はなぜ孤立したのか

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• 宇田川 元一

  埼玉大学経済経営系大学院 准教授

  ・2021年01月28日

  プロ経営者の伊藤さんの三洋再建のときの失敗の振り返り。
  我が身も顧みず改革を断行してきたある日に突然クビを言い渡された心境はいかばかりだろうと思う。以下に綴られている。
  
  「「何事にも白黒を付け、間違っている場合は『あなたが悪い、直せ』と言ってきた」。変化しなければ生き残れないという覚悟は自然に芽生えるものだと考え、それまでのグローバル企業で培った経営ノウハウを横展開した。勝てるシナリオを示して方向性を明確にし、日々の業務を「見える化」する。経営効率の改善など剛腕を発揮する形で就任初年度の黒字化にこぎつけた。だが、旧三洋の古参メンバーとは、意識のベクトルを合わせることができなかった。」
  
  経営再建の現場を近くで見たことは無いのでわからないが、急性期への止血的対処の局面と、その後の慢性期の対処は違うものがあるのかもしれない。もしくは、急性症状としての経営危機も背後の慢性疾患の悪化によるものかもしれない。
  そう考えると、ショートスパンの急性症状に対処しつつ、慢性疾患のセルフケアを現場に植え付けていくということがプロ経営者に求められる仕事なのだろう。
  しかし、この三洋での伊藤さんの物語は相当きついものがあっただろうと想像する。