台湾新幹線の新車両、日本側の提示価格高騰で破談 「日台協力の象徴」暗礁に
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台湾新幹線は国民党と民進党のせめぎ合い、ざっくりですが、国民党が欧州製を、民進党が日本製を推していました。
日華親善協力の象徴とも言われていますが、事情は複雑で、台湾の安全保障の問題も絡んでいたようです。
今回日立東芝連合の提示価格(新型の700S)が、前回実績(700T)の2.5倍は、あまりにも高すぎるという台湾側の主張もうなずけます。
ただ実態はそういう表面的なことよりも、台湾新幹線誕生の複雑な経緯から紐解く必要がありそうです。
また高鉄は明らかにしていないようですが、鉄道専門誌によると一編成167億円で、東芝日立の185億円に対して極端に高いというわけではありません。
歴史を紐解いてみると、台湾新幹線の計画は、シーメス/アルストムが先行していて、日本(車輌;川重・日本車輌・日立連合、運行システム:JR東海)は割高で出遅れていました。最終的に車輌と通信システムは日本方式、軌道・トンネルなどは欧州方式という形で決着しました。
日本が逆転した理由は、親日派の李登輝(国民党)よりも安全保障だったと指摘されています。
高鉄側の不満として大きいのは、日本では2020年に700系が退役しパーツの製造も中止されるため、現役の700Tのパーツがなくなるということにもあります。
最終的に日本連合に決まるのか、それとも高鉄が新たな調達先として第三国(欧州勢や中国)も検討すべきだとも考えているようなので、微妙だと思います。
親台派の梶山静六も台湾財界を熱心に回って、欧州連合に有利だった情勢をひっくり返したという台湾新幹線誕生物語まで辿っていくと、非常に興味深い話がたくさんありますね。
参照
◎決定間近?新型「台湾新幹線」は誰が造るのか
入札は一度キャンセル、どんな車両になるのか
2021/01/18
https://toyokeizai.net/articles/-/404682
◎急展開、台湾新幹線「国際入札」打ち切りの裏側
日本の価格は高すぎて、欧州・中国製を導入?
2021/01/23
https://toyokeizai.net/articles/-/406785「日台協力の象徴」と言えば聞こえは良いですが、現実的にはJR東海を含む日本側と台湾側の確執は根深いものがあります。
オペレーションを含むソフト面も一体で新幹線システムと捉える日本側、運用面は合理的な点から独自モデルの導入にこだわった台湾側、意見の対立は当初からありました。
台湾高鉄700Tのモデルとなった700系は日本では既に退役しており、且つ日本からの補修部品の価格も高価な事から、台湾高鉄では中山科學研究院や民間企業と協業で独自の互換部品の研究開発に取り組んでおり、既に全体の30%近くが台湾製部品で置き換え出来る様になっています。
現在台湾高鉄では34編成の700Tを運用しており、今回の追加導入は将来的なダイヤ増発を見込んでのものでした。台湾高鉄としては同系の購入を希望していたようですが、既に700系は製造されていないことから日立、東芝は700Sベースを提案したものの、700T編成の中に700Sを組み込む事はその能力を発揮する余地があまりなく、宝の持ち腐れになりかねません。
700Tの全面的な切り替えはまだ少し先になりそうですが、日本側は世界に新幹線システムを本気で売り込みたいのであれば、もっと勉強しないと駄目です。日本が誇る技術である事は疑う余地はありませんが、他国でそれがベストとは限りません。
数年後、台湾に違う国の高速車両が走っていない事を祈るばかりです