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彼だけでなく、それを簡単に信じてしまう人たちにも問題はあるのですが...それを信じたくなるくらい現状への不満が渦巻いているということなのでしょう。国家を結束させるのは難しい道ですが、少なくともファクトベースの科学的アプローチが復活することは期待しても良さそうです。
前大統領の16年の「アメリカ・ファースト」の演説のようなサプライズはなし。ハプニングもなし(ジェニファー・ロペスが歌の途中でスペイン語で訴えたことぐらい)。演壇に立つ人々の多様性が16年とは大きな差。
個人的にはアマンダ・ゴーマンの詩の朗読が圧巻。あとは私がジョージタウンの学生だった時のオドノバン学長が登壇したのは、驚き。
全体として、コロナ対策でだいぶスケールダウンした感じ。ソーシャルディスタンスをとったまばらな席と発言者がすぐにマスクをつけるのが印象的。
いろいろなところで既にお話をしましたが、今回の演説はいつもなら「cliche(安っぽい決まり文句)」に聞こえるような内容が議会襲撃などもあり、極めて重い言葉に感じる部分が特徴的。政策を具体的に伝えれば伝えるほど、そちらの方が陳腐になってしまうことを踏まえての内容かと思います。
名指しのトランプ批判と取られることを避け、トランプ支持者をも取り込もうという配慮が見られまさした。Unityと言う言葉が9回出てきましたが、それより多かったのがdemocracyの11回で象徴的でさした。(ちなみに4年前のトランプ大統領はどうだったんだろうと思ってトランプ大統領の就任式のスピーチをチェックしたところ、ユニティーもデモクラシーも出てきませんでした。)
トランプ大統領のスピーチはMake America great again とAmerica firstと言うスピーチで、ワシントン祝詞から忘れられた人々に権力を取り戻すと言う内容でした。
同盟重視やソフトパワーの回復などにも触れており、その点のアメリカのカムバックは歓迎するところですが、この演説がほぼ国内問題に占められていることからわかるとおり、新政権は相当の期間コロナ対策や分断の解消など国内政策にエネルギーの大半を割かざるを得ないと思われます。したがって日本が自由で開かれたインド太平洋のアジェンダ推進に果たす役割は従来以上に大きくなると感じました。
レディ・ガガとJLOの歌も感動しましたね。
ファッションチェックをしますと、バイデン大統領はラルフローレンのスーツ。ジルさんはニューヨークの新人女性デザイナーMarkarian、カマラ・ハリス副大統領は若い黒人デザイナー、クリストファー・ジョン・ロジャース。夫のダグ・エムホフ もラルフローレン。
カラマ・ハリス着用のクリストファー・ジョン・ロジャースは2019年度CFDA/ヴォーグファッション基金アワードのグランプリを獲得した若手黒人デザイナーです。
「Unity」という言葉を繰り返し使っていたバイデン大統領。
そして、アメリカ初の女性アフリカ・アジア系副大統領の誕生に胸が熱くなっております。
「2009年に民主党政権を選んだ日本国民は、その後の3年で学び、少し賢くなった。
2016年にトランプ政権を選んだアメリカ国民も、その後の4年で学び、少し賢くなるのだと思う。」
https://newspicks.com/news/2015222?ref=user_198783
本当に、本当に多くのことを学んだ4年でした。あまりにも痛い経験から、我々は少しは賢くなったのでしょうか。だとすれば、それがトランプ政権4年のいちばんの成果だったと思います。次の4年も我々は多くを学ぶでしょう。今日の就任式の演説で誰かが言ってました。
「アメリカは過去よりよくなった、でもまだ理想には届いていない。」
アメリカに限らず世界の市民たる人類は、少しずつ学び、賢くなり、過去の反省に立って、次の世代により良い世界を残していく責任があるのだと思います。
そう言った意味では自分のルーツに愛国心を持つ事はいいことだと思いますが、日本では何故か愛国心を語るとネガティヴなイメージがつきまとってしまう気がします。
また、日本は国民が直接選べる大統領制でなく、国民が選んだ議員が代表を決める議院内閣制であったとしても、総理大臣の就任挨拶は同様に国民に向けた式典で、もっと心に訴えかける、国民の心を動かす演説があってもいいかと思います。総理大臣のスピーチに国民がワクワクしたり、逆に国民に直接的に話すことにより、政府にも多様な視点が加わると同時に覚悟も高まる気がします。
就任直後からバイデン大統領のUnityの手腕が問われる事項がまさに山積み。カマラ・ハリスさんを紹介しつつ「大きな変化」という発言もありましたが、変化をどう生かしていくのかにも注目ですね。