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日銀が公表している資金循環統計を見ても、大手外食チェーンに限らずマクロの民間非金融法人部門の短期借入金が激増しています。
リーマンショックの時とは比べ物にならないくらい、政府日銀に資金繰り支援策の賜物ともいえますが。
短期借入金が4倍以上というのは、大変な危機的状態です。
経営陣としては、倒産を防ぐために大々的なリストラを行うはず。
そうすれば、多くの失業者が出てきます…。
ただ、何故短期が増えているのか、という点が興味深く考察してみます。
短期の借入は主に以下のもので構成されているはずです。
①当座貸越(枠が決められて枠のなかで自由に借入が出来る)
②手形借入(半年から一年後に一括返済、通常は転がして期限で再度借入をすることで実際には借入を続けていくもの)
③長期借入のうち今後一年間の返済額
上記のうち①と②は運転資金として借りるものであり、長期で少しずつ返済していくべきものは長期借入として借ります。また、お金の借り方としては一般的には長期の方が借りやすい認識です。
何故なら①や②で銀行がお金を貸してしまうと、貸付を続けなければならないためです。いきなり枠を無くすと一括で多額に返済をしなければならず、これが貸し剥がしとして会社の倒産を招いてしまうからです。これがリーマンショックのときに起きたことで、金融庁としては同じことが起きないように目を光らせているはずです。
今回のコロナで負債を抱えてしまったのであれば、これは長期で返していくべきお金であり短期で借りるべきものではありません。
ただ、3月~夏頃までにコロナ禍の状況で銀行へ借入の相談は殺到していましたので、満足な審査が出来ずにとりあえずの繋ぎとして短期で貸付をしていた銀行もあります。そういったものが多かったのであろうと思いますし、当座貸越枠が元々あってそれをガッツリ借りた、というのが実体ではないでしょうか。
短期の融資は運転資金として借りるべきものであり、店舗数が増えたり事業が拡大したときに増えるべきものであり、今後はこの融資を長期に変えるべきです。特に今はコロナの特例で、通常であれば7年程度が最大の返済期間であるところ、10年~15年の返済期間で組めますので、飲食業界はとにかく長期で返済期間を設定して、キャッシュフローを改善する必要があると思います。
もちろんそもそもの営業キャッシュフローがプラスでなければ返済期間が延びても返済はできませんので、そもそもが本当に厳しい状況であろうと思います。
オンラインの飲みは安上がりで、それなりに話せて、その場で寝れば良いだけで良いことも多いですし、出前館やUberEatsの楽さやメニューの豊富さに気づきました。
そもそも飲むことから離れて、節約も禁酒もできて良かったという人も多いと思います。
私も飲み会で2次会まで行くと10000円近くかかるなら、レストランで家族とディナーに余裕で行けちゃうので、そっちの方が良いなと思うようになりました。
結論、短期で調達した資金は※約4000億円で売上1か月分ちょっと(記事とは母集団が違うため、自分の計算では2.3倍)。
①足元の資金繰りのための安全策が約1500億円
②Q2(5-7月のどこかに終わる四半期)の営業赤字充当ニーズ1000億円
③その他が約1500億円
※短期借入は2019Q4が3200億円、2020Q1から順に3700億円→6400億円→7000億円と、合計で4000億円弱増加(売上に対しては1か月ちょっと分の増加)。
①まず手持ち資金(現預金同等物)から見る。通常は売上の1.5か月分程度だが、2020年第2四半期(5-7月のどこかで終わる四半期)については2.4か月まで増加、第3四半期は2.1か月まで落ち着いた。具体の増加額としては6000億円前後だったのがQ2に7000億円、Q3に7400億円まで増加(Q3の月数に対しての低下は、Q2→Q3の売上増加に起因)。
②Q2は営業利益が-1000億円、Q3はほぼゼロ。
なので③はそれ以外。通常の設備投資は抑えていると思うが、閉店をするためのコスト(違約金・原状復帰)、コロナ対策のための店舗改造(設備投資までいくものはキャッシュアウトと減価償却費との時差がある)などもありそう。
なお、売掛金・棚卸・買掛金の資金サイトは通常は0.2か月、それがQ2は0.4か月、Q3は0.3か月に変化。ただ売上の増減に起因するもので、必要な運転資金は1000億円前後で変わっていない。
また、長期借入も1兆円弱でずっと変わらない。財務がしっかりしている企業で厳しいと思えば長期借入を増やすのも選択肢(厳しいときに他社より生き延びたり買収する)だが、銀行もこの環境下で長期を貸すのは怖いだろうし、ましてや財務が厳しい会社であればなおのこと。
すばらしいサービスと食べ物を提供していただけているお店も、この状況が、まだまだ続くと、さすがに厳しい。
※個人的な見解であり、所属する会社、組織とは全く関係ありません