【解説】なぜツイッターはトランプを「排除」したのか?
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トランプは旧来のマスコミの「切り取り」を信用してこなかったし、マスコミのいいように切り取られるのが嫌だった。自分の声を直接そのままの内容で切り取られないで有権者に届けたいと思っていた節がある。マスコミが何かを「切り取る」と、すぐにフェイクニュースだと決めつけたりしてきた。マスコミ側も反省の余地は十二分にあって、この手のマスコミの恣意的な切り取りや編集はアメリカのみならず、日本でも日々、度々問題になってきたが、自浄作用はまるで働いていないのが現状。
なので、トランプのみならず、政治家の中でもきちんと情報を発信して受け取ってもらいたいタイプの人たちで失言をなるべく避けられる人たちはこぞってTwitterなどのSNSを自分発信のツールとして活用してきた。(トランプの場合は、自分の発信内容がたとえ、失言にあたるレベルでもお構いなしにガンガン発信し続けて、指摘する側が指摘しきれないほどだった。それを数年続けることで、世界から「(あの)トランプだからなあ。。。」というポジションを築き上げてしまったのはある意味では流石ともいえる。
そんなトランプの強烈な発信力を下支えしてきたのがTwitterであり、その他のSNSのプラットフォーマーたちであり、トランプのための巨大な拡声器の役割を果たしてきた。しかし、今回はその拡声器自身が役回りをお断りしており、ぱっと見ではトランプは自身の得意技を退任間際についに奪われてしまっているかのようにも見える。マスコミの都合の良い切り取り報道にまたもやさらされてしまうのはトランプ的には心地の良いものではないだろう。
が、この記事にもある通り、民間企業たるTwitterにも企業ポリシーはあるし、ホワイトハウスのSpokesmanではないので、Twitterの今回の措置自体は法的には問題が無く、警告プロセスも踏んできたのだから、文句を言われる筋合いでもないのだろう。
ただ、記事でも指摘がある通りだが、ガス抜きされないことからの社会への影響は大変気になるところではある。
注目のコメント
トランプ大統領のフォロワー数は8800万人で、世界5位でした。1位はオバマ前大統領で1億2千万人、2位はジャスティン・ビーバーで1億1千万人です。
ツイッター社は、明らかに私企業なので、自社のプラットフォームの規約について、自社で判断することは、法的には文句のつけようがないでしょう。政治家がメディアに出られなくなる、ということであれば、昔からいくらでも例があります。テレビに出られない、新聞に発言が載らない政治家というのは、多数いました。
新しいのは、ソーシャル・メディアというプラットフォームであること、そして、その影響力がこれまで存在したどのメディアよりも大きくなったということでしょう。世界で最も発行部数の多い新聞、読売新聞でも860万部です。毎日1億人近くが読むメディアなど、他にありません。そして、この影響力の拡大が、あまりにも急速に起きてしまったことです。
ツイッターのサービス開始は2006年でした。12年間で、ユーザーは3億人を超えました。ただし、ツイッターは、ソーシャル・メディアとして、ユーザーがそこまで多いわけではありません。トップのフェイスブックは、世界に24億人のユーザーがいます。
ツイッターの特色は、その拡散力とスピードにあります。情報量なら、YouTubeの方が多いでしょう。しかし、ツイッターは、シンプルなメッセージを拡散するだけなら、数時間で数億人の目に入るようにすることが可能です。トランプ大統領がツイッターを最も愛用した理由でしょう。
ツイッター社自身が、自社が持ってしまった影響力の大きさに困惑しているとしか思えません。自社の責任で、内戦を起こすことも、大統領選挙の結果を変えることもできます。もちろん、ツイッター社自身がメッセージを発信しているわけではないのですが、自社の規約に基づいて削除したりアカウントを凍結することができます。責任の一端があるともいえるし、実際に責任を問われるようになっています。創業者たちは、こんなふうになりたかったわけではないでしょう。
トランプ大統領のアカウントを凍結したのも、あまりにも大きな責任を問われて、とにかく関わりを切りたかったのでしょう。
米議会襲撃 65日間の危険信号
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-55617117「一民間企業の判断」と済ませることは簡単ですが、情報インフラと化したプラットフォームからの排除は、生活インフラの一つを奪われることを意味し始めています。
そんな中で、後半では「知る権利」からのアプローチを含めて本件を検討してみました。ネットワーク上の情報空間での知る権利というのはこれからどんどんと議論が発展していくと思います。
私個人は、電気・ガス・水道のようなインフラを民間企業が運営する際に安全管理基準を持ち、またそこに一定の民主的統制が機能するように、今後情報プラットフォームにもそのような規制が及んでいくように予想します。本論に賛成、加えて以下。
まずアメリカは、世界は、あまりに極端かつ新しい事件に興奮している故、冷静論理的にこの問題を捉えることが出来ていないように見受ける。
ようは何度注意しても迷惑行為をやめない客が出禁になる、というのはあらゆるサービス産業において極々普通の事ではなかろうか。ましてその迷惑行為は死傷事件に直接ではないにせよつながりかねない危険行為ならどうか。
そのような行為で彼は退場までに何度、非表示ペナルティを食らっていただろうか。
以上をもって、利用規約をそもそも守る意志の全く無い人物と判断するに十二分ではなかろうか、するとサービス提供における契約行為が成り立たないわけだから、サービス提供をしない権利が供給側にあることは明白ではなかろうか。
非表示ペナルティが正しいかという議論もあるが、それについては本稿のとおり、コンテンツモデレーションは事業者の法的、道義的義務の範囲内である。
通信品位法230条は事業者のオール免責ではない。
逆にそれを怠ってきた、もっと検閲せよと散々今までロヒンギャやら2016大統領選やらで民衆も政治家もネット事業者をイジメてきた。故に今回やり過ぎだ、というなら今までとは逆の意見を言っているという認識も必要だろう。
確かにTwitterはすごい。しかしなんとなく凄いのであって、ユーザ数はFacebookよりひと桁小さい。
即時性は他の全てのインターネットメディアで変わらない。つまり他に選択肢はいくらでもある。
同じ理由でプラットフォーマーと十把一絡げにしたり、寡占という事実に悖る言葉でもってTwitterを本件で批判しているメルケルや仏ルメールも間違っていると私は思う。
Twitterはインターネット利用者もSNS利用者も広告市場もいずれも寡占していない。
なお言論の自由と皆二言目には言うが、何を言っても良いのが言論の自由ではない。
言ってはいけない事を何度も言えばTVも紙媒体も出禁になって当たり前。ようは程度問題に過ぎない。