1ヶ月前にもWSJでOil Majorsに変わるGreen MajorsとしてEnel、Iberdrola、NextEraの3社を大きく取り上げていました。そこで印象に残っているのが例えばIberdrolaが大きく再生可能エネルギーに賭けると(反対があった中)戦略転換したのが今から20年前の2001年。20年かけて今の地位を築いて来ている点に本領域における長期コミットの大切さと既に日本の電力メーカーとの間には埋められない差が存在している事を痛感させられました。また、Enelは元々は原子力発電の建設が住民反対で頓挫した事をきっかけに再生可能エネルギーのポテンシャルに気付き、資源をシフトさせたという経緯も興味深かったです。 一方で本NPの記事に出てくるJERAの動きもとても興味深いですし、自らルールメイクする側に立とうとする意思は素晴らしいなと思いました。 The New Green Energy Giants Challenging Exxon and BP https://www.wsj.com/articles/the-new-green-energy-giants-challenging-exxon-and-bp-meet-nextera-enel-11607696660
すでに100メートルを超える巨大な構造物が、港から次々と運び出される様子は、なんだかSFの世界にも見えて、これが10〜100基も並ぶような巨大なウィンドファームが日本に来ることはあるのかなと考えていました。
(当時、日本で騒がれていた案件は福島沖の浮体式洋上風力発電で、その時点から業界ではムリと囁かれており、先日ようやく廃止が報道されました)
そこからほぼ10年が経ち、日本で、洋上風力が凄まじい勢いで盛り上がっています。2030年10GW、2040年30〜45GWという導入目標は、本気の主力電源とする覚悟がないと出せないはずです。
この記事で取り上げた「再エネの巨人」たちは、早くから再エネのポテンシャルに目をつけた上で、そうした各国の政策をいち早く捉えて、今や石油メジャーを一気に抜き去るモメンタムを生み出しています。
日本からも、世界へ羽ばたく巨人は生まれるのか。
この日本初となる壮大なプロジェクトの実現には、技術、製造から土木、系統の整備まで足りないことだらけですが、一つ言えるのは、脱炭素の道をすでに選んだのであれば、そこに突き進むしかないということです。
記事で取り上げた3社がどう進んでいくのか、注目したいところです。
誤差はありますが単純化すると、CO2排出はエネルギー起源が8割(日本は9割)、ほとんど全てとまず認識し、電気は1/3くらいと認識すればいいんじゃないでしょうか。(電気という中間で言うかその利用先の消費側で言うかは次の問題)
日経新聞などでも誤りがよくあります。power, electricity, energyやgeneration, production, consumption やindustry, business, buildings, agriculture などエネルギー業界用語を経済用語で訳すと間違えたりする変な業界です。
ただ、学校のようなつまらない話しから入るのではなく、伸びている企業や変革する企業にスポットを当て、そこから背景となる基本的な理解にも関心を広める構成アプローチは素晴らしいですね。
‘’そして、興味深いのは、彼らはいずれもゼロから立ち上げたスタートアップではなく、旧来の化石燃料型のエネルギー企業だったのが、いち早く風力や太陽光のポテンシャルに張って、再エネ企業へと一気に舵を切ったことだ。‘’
一方で本NPの記事に出てくるJERAの動きもとても興味深いですし、自らルールメイクする側に立とうとする意思は素晴らしいなと思いました。
The New Green Energy Giants Challenging Exxon and BP
https://www.wsj.com/articles/the-new-green-energy-giants-challenging-exxon-and-bp-meet-nextera-enel-11607696660
菅首相が2050年カーボンニュートラル宣言をしたのはよいが、その
達成のためには2030年の電源構成比が問題になる。そこがまだあやふやのままだ。
2050年目標を達成するには、2030年に自然再生エネルギー電力の比率を45%程度まで高めることが必要である。しかし現在の計画では2030年の電源構成における自然再生エネの割合は22〜24%で、うち風力は1.7%(10GW=1000kw)と設定され、しかも洋上風力はそのわずか10%にも満たない0.82GW(=82万kw)でしかない。
英国は洋上風力だけで2030年までには電力の30%を目指しているいから日本は大きく遅れをとっている。
洋上風力を増強するためには、政府のブレない姿勢が求められる。せっかく発電しても陸上の電力系統・送電線の容量が確保されていなければ採算を見込めず、したがって投資を尻込みしてしまう。現在、既存の電力会社による「先着優先」の慣行・既得権益があり、自然再生エネよりも原発や火力発電が優先されている。せっかく発電してもストップをかけられる恐れありなのだ。新規発電事業者への送電線の融通など将来の電源配置を見据えた政策を政府が明言する必要がある。
とりわけ保守的な電力業界にあって、レノバのようなアントレプレナーがこれまでの慣行を突き崩していくことが期待される。日本はヨーロッパとの競争では完全に周回遅れなのだから。
JERAさんの動きも非常に良い方向で注目したいです。同社の経営企画本部長からの生の声は貴重。今後もこういった記事期待しています。
これらの大変身が出来た理由は、欧州における脱カーボン・再エネ政策による目標設定と固定価格買取制度(FIT)などによる初期の支援策。
局地的な支援中心だった政府の政策も、菅さんの2050年カーボンニュートラル宣言でやっと世界の潮流に乗り、その後の官僚の動きは早かった。予算申請案策定の時期に大幅な転換での政策立案は凄かったです。
日本としては、やっとスタート地点に立ったわけだが、今後は協業・合掌連合等、なんでもありでの業界再編が求められる。それは、グローバルな巨人になるための一つの通過点だし、「グリーンディール」でポストコロナの産業再生にも一役買ってくれると思う。「儲かるグリーンビジネス」はこれから本格化。
https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/yojo_furyoku/pdf/001_04_01.pdf
ようやく、洋上風力のポテンシャルに期待が集まる中、昨年11月、三菱重工は洋上風力開発から「撤退」し、自前路線からデンマークの大手と組んでの販売に切り替えました。
産業創造のチャンスですが、以前、積極的に取り組んでいた日大手メーカーは、陸上・洋上風力から徹底している点が非常に残念です。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66153040S0A111C2X13000
ただ、日本では欧州と違い遠浅の沿岸がほとんどないため、浮体式になりコストがバカ高くなるほか、津波や台風に耐えられないなどの問題があると理解していたのですが、このあたりも既に解決されているのでしょうか。
ヨーロッパへ行くと環境に鈍感だとダサいと思われ、もはやファッション的にイケてない人であるかのように見られてしまいます。
日本も一丸となってグリーンシフトを推進していきたいですよね。
バリュエーションが役に立たないということではなく、それだけ成長可能性が大きいことと、より重要なのは株式資本コスト(投資家から見れば要求利回り)が低いということ。
※平易な表現を使えばPERは株式資本コストと成長率の差分の逆数
グローバル規模で投資ファンドがESGへの指標の重要性を高めている中、こうした企業の株式資本コストは低下する傾向が続くでしょう。