NASAの有人月探査船ミッションのメンバーに選ばれたアン・マクレーン宇宙飛行士が次世代宇宙船の設計と操縦について語る
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注目のコメント
僕がとりわけ強調したいのはここ:
>もう1つ自信を持っていえるのは、NASAがこうした新しい宇宙企業と協力する方法です。NASAはテストと設計レビューを徹底的に行います。
NASAは「嫌な奴」の立場となりレビューで徹底的にダメ出しします。そのためにスケジュールが遅れることもありますが、潜在的リスクを洗い出し、信頼性を高めるのに寄与することができます。NASAはお金だけではなく、「ダメ」も出すカスタマーなのです。
たとえば記事にあるディスプレーも、たしか重要なスイッチは物理ボタンになっていたはず。そこらへん、きっとSpaceX(というかイーロン・マスク)の美学とNASAの現実性との間で相当な綱引きがあったのだろうと想像します。SpaceXはテスらみたいに一切のボタンを排除したい、でもNASAはこれだけは安全性の観点から譲れない、そんな駆け引きの末に出来上がったデザインがこれなのでしょう。
SpaceXはFalcon 9の開発を始めた頃からずっとNASAがカスタマーだったので、厳しいレビューに晒され続けてきました。
NASA内部のプロジェクトもそうです。レビューのたびに、プロジェクトに関わっていない外部者からの徹底的なレビューを受け、膨大なダメ出しを喰らいます。それが信頼性の高いものを作る上で絶対必要なものなのです。
一方、そのような協力関係なしに民間のみでやってきたところは、十分にダメ出しをしてくれるところがないのが弱点だったりもします。
よくNASAとSpaceXは過度に単純化された二項対立で語られますが、それは間違いです。両者が異なるカルチャーを持っているのはその通り。その両者が手を携え、お互いをリスペクトしながらも激しい綱引きをしてできたのが、この宇宙船です。
ちょうど日本の宇宙ベンチャーについて、そんなことをブログ記事に書きました。明日あたりに拡散しようと思っていたのですが、隠す理由もないのでリンク貼っときます:
http://hiroono.com/ja/2021/01/01/thoughts_on_japanese_space_startups/クルードラゴンを作った人たちは確かにかつてはNASAの仕事をしていたのだろうが、税金でやる仕事で、間違いを犯さないことに主眼を置く安全文化とリスクをとるSpaceXの文化は全く違う。名前が違うだけではない。
MRJ が上手くいかない(いかなかった?)理由ってこういうことなのかも…
と記事と小野雅裕さんの PICK を読みながら思いました。こうすればロケットって作れる、飛んで帰ってこれる
だけで作られているわけではないのですね(当然でしょうけどね…)。。